負けず嫌いの性格から出てくる3番目の悪徳は、「反省しない」ということです。

 社長族というのは、「自分は偉い」と思っているため、基本的に「反省しない種族」だということです。反省というものに対し、最もやる気が起きないのが社長族です。

 また、反省したとしても無駄であることがほとんどです。表面的にしかできないことが多く、深いところまで反省するなど、めったにできるものではありません。反省しようとしても自慢話のほうが出てくるので、どうしようもありません。

 反省するとしたら、それは倒産したときでしょう。倒産したら反省し始めますが、それまでは反省しません。そういう人たちなので、何度反省しても、ほとんど無駄であることが多いわけですが、それほどまでにうぬぼれが強いものです。

 ただ、自分のほうが間違っていたこと、例えば、間違った指導をしたり、あるいは、部下の言ったことのほうが結果的に正しかったと、客観的に分かったようなときに、部下に対しても、「すまなかったな」「俺のほうが間違っていた」と、はっきり言える社長というのは、やはり器が大きいわけです。

 社長族にとっては、自分が謝ると何か値打ちが下がるような気がするのです。謝ったら、自分が偉くないことを認めて白旗を揚げたように見えるので、基本的には謝りたくないのです。つまり、自分を大きく見せたい、偉く見せたいために謝りたくないわけです。しかし、それは「逆効果」です。

 本当は自分には直接の責任がなく、間接的な指導の誤りによって部下が失敗した場合でも、「いや、それは自分のミスだ」「自分が、ちゃんと詰めをしなかったのが悪い」と、自分の責任やミスとして認めたり、あるいは、自分に問題があったと見たときには、部下に対してでも謝ることができたりするような人というのは、器が大きいです。

 社長が、「わしのほうが間違っていた」と言っても、部下は絶対に軽蔑などしません。

 もちろん、間違ってもいないのに「間違っていた」と言うのはおかしいので、それが事実の場合の話ですが、客観的事実として、部下が言っていることのほうが正しかった場合には、「すまなかった」「間違っていた」「この次からは気をつけるから、また言ってくれ」「また俺がおかしなことをしているようだったら、ちゃんと言ってくれ」「多少判断に迷っているようなときがあったら、ちゃんと諫言してくれ」「言いにくいことがあっても言ってくれ」と言えるようなトップの下には、やはり、人材が育ってきます。

「よし、なかなか器の大きい社長だな。では、ここは一つ社長を育ててやるか」という気になって、いろいろと言ってくれるわけです。

 しかし、「絶対に間違いを認めない」というような人がトップだったら、やはり、下につく人々はやる気が起きません。「おまえらは、もう手足でいいから」「頭は要らない」「手足だけでいい」というのでは駄目です。