社長族、あるいは経営者になりたいと思っている人というのは、基本的に、だいたい負けず嫌いな人です。負けず嫌いでない人は、あまり社長族等にはなりません。そして、負けず嫌いであることが、一定の発展の力になっています。
社長の「人に負けたくない」という気持ちが強いことは発展力にはなるのですが、それと同時に、その負けず嫌いの性格が種々の悪徳を生み、実際に会社の発展を妨げているところも数多くあります。ここを一つのポイントとして知っておいてください。
では、負けず嫌いの性格から、何が出てくるのでしょうか。
自慢話。悪口を言う。怒り。反省しない。うぬぼれ等があります。これらは、「会社の発展を止める方法」ですから、チェックをして考え方を改めてください。
きょうは「自慢話」に的をしぼって進めていきます。
負けず嫌いであることはしかたがないと思いますが、とにかく、「わしは偉いんだ」と言いたくなってしかたがないというところです。
従業員のほうは、それが出た瞬間に耳栓を入れたくなり、「百回は聞いたかな」「二百回は聞いたかな」と思うようなことが多いのですが、話している本人は忘れていて、「こんないい話は何回聞いてもいいだろう」と思って、自慢話を始めるわけです。
もちろん、会社の経営理念等を繰り返し言うのは大事なことなので、そういうものは繰り返して言っても構わないのですが、個人の自慢話のようなものを繰り返し言っていると、聞かされる側はだいたい耳栓をして距離を取りたくなってきます。
したがって、まずは、その負けず嫌いの性格から出てくるところの「自慢話癖(へき)」を少し遠慮することが大事です。これだけでも徳が発生します。
「社長は自慢したいだろうな」と思われるようなときに、少し抑えを利かせているだけでも、徳は発生します。言いたいところを言わずに抑えていると、「何か大きな志を持っているに違いない」と思わせるような雰囲気がするわけです。そして、従業員は、その部分に発展の余地を感じます。
ところが、社長がタラタラと自慢話をしていると、だいたいの人が「わが社は、もはや天井かな」と思います。社長の人格の裏が見えてしまうことになり、人から尊敬されにくくなるわけです。
個人的な自慢話はしたくなるでしょうし、息抜きにもなりますから、「まったくするな」とは言いません。給料を出している者として、少しは言わせてもらいたいでしょうから、多少はしかたがないと思います。
ただ、少し「控えめ」にされたほうがよいのではないでしょうか。ときどきは、聞くほうの身にもなって考えたほうがよいでしょう。
自慢話を控えるだけでも、社長に対する従業員の捉え方が良い方向に変ってきます。会社の繁栄発展につながる一つの徳を積むことになります。