トップの人格の練り具合や、その器をいかに大きくするかによって、会社というのは大きさが決まってきます。上の「天井」が低ければ、もう伸びることはできません。したがって、天井を揚げる以外にありません。

 もちろん、個人の能力には差がありますが、やがて、自分ではできない範囲が出てきます。そのときには、自分にない能力のある人と協調して仕事ができなければいけません。自分にない能力のある人を片腕にしたり、仲間にしたり、グループにして数名の経営チームをつくったりして、仕事をしていかなければいけなくなるわけです。

 しかし、そのときに、前述したように負けず嫌いの性格が角を出してきて、チームが組めなくなることがあります。そういう人は、自分一人の考えでないとできないので、チームを組めなくなるのですが、これがまた、発展を止めるわけです。

 要は、自分の苦手分野に強い人と組むと負けたような気がするので、そういう人と組むのが嫌なのです。すべてにおいて自分が優れていないといけない気がするので、どうしても自分より劣った人と組みたくなるわけですが、これは人情でしょう。人情としてはそうです。

「上司というのはオールマイティで、部下は全員、あらゆる部門において上司である自分より能力が下」というほうがやりやすいところはあります。命令一下で動くのは、そういう人たちだからです。

 しかし、実際は、そういう人たちばかりを使っていたのでは、会社は発展しません。

 もちろん、トータルでは社長がトップでなければいけないと思いますが、いろいろな専門分野で自分より上の「知識」や「経験」を持っている人を使えなければ駄目です。そういう人を使うだけの器量・力量が要ります。

「自分の弱点の部分を補ってくれる人と一緒に組む。また、その仕事の成果を正当に評価する。公平に評価する」という気持ちが大事です。