1.CALS/ECとは

CALS(キャルス)の意味はルール。

CALSは電子商取引(EC)のためのルールです。しかも、国際社会における産業ルールですから、「世界標準ルール」となります。

CALSは建設産業だけの言葉ではありません。自動車CALS、鉄鋼設備CALS、航空機CALSなど、さまざまな産業で用いられる一般的な言葉です。

CALSという言葉が建設業界に知れ渡ったのは1995年頃。国が建設CALS/ECアクションプログラムを策定したことに始まります。特に、公共工事の市場はCALS抜きでは語れません。100%と言ってもよいぐらい、CALSの市場になっていきます。

 

ECとは「電子商取引」のこと。建設業界のECとは、電子入札、工事請負の電子契約、工事完成図書の電子納品など、国内で進められている電子化のことです。CALSを使ってECをするので、CALS/ECになり、世界標準ルールを守って、電子入札や電子契約をすることになります。

この建設CALS/ECの情報提供をしているところが、財団法人「日本建設情報総合センター(JACIC-ジャシック)」です。旧建設省から要請を受けて、公益法人の立場で、コリンズやテクリスを構築、運営しているところです。国の研究動向やイベントの開催予定など、国内のCALSの最新情報が掲載されています。

 

2.コリンズとは

コリンズとは「工事実績情報システム」といいます。各発注機関が共同で利用でき、建設会社の技術力を公正に評価しうる工事実績情報のデーターベースです。

平成6年3月にスタートし、当初は旧建設省の直轄工事で、コリンズへの登録義務付けが開始され、請負金額5,000万円以上でした。平成14年10月に登録範囲を請負金額500万円以上に拡大されました。

 

3.テクリスとは

テクリスとは「測量調査設計業務実績情報システム」といいます。コリンズは建設工事ですが、こちらは、建設コンサルや地質調査企業、測量業務の実績です。コリンズと同じように、公共発注機関が業務を発注する際に、より公正で客観的な企業選定ができるように支援することを目的として、共同で利用できる業務実績データーベースです。

4.CALSの情報共有

このCALSの情報共有には、行政と業界だけでなく、国民も含まれます。設計や工事に関する情報は、行政と業界だけで共有されるのではなく、国民にも情報が公開されています。経営事項審査の結果、コリンズの工事実績情報、入札情報などがインターネットで公表されているのは周知のとおりです。

これらの背景には、情報公開法という大きな法律があり、行政に申請・提出された文書は、行政文書として原則公開される時代です。今後は、施工実績や技術情報なども、公表情報が拡大していきそうです。