契約保証制度は、入札者や請負者の約束不履行による発注者の損害を保護する制度で、入札保証、履行保証に区分されます。

 

1.入札保証

公共発注者が競争入札を実施する際、入札保証金として入札価格の5%以上の納付が義務づけられています。しかし、実務では、請負契約締結の辞退の事例は皆無なので、この規定は免除されています。

 

2.履行保証

履行保証とは、建設業者の契約不履行により、発注者が被る損害に備える措置であり、平成6年、建設省(現国土交通省)でまとめられ、談合を助長する等の批判のあった、従来の同業者が工事の完成を保証する工事完成保証人制度を廃止したことは、大きな一歩であると評価されています。

なお、履行保証は金銭的保証、役務的保証の二つに大別されます。

 

3.建設業者による履行保証の選択肢

発注者は、競争入札手続きを開始する前に、金銭的保証と役務的保証のいずれかを選択します。実際には、ほぼすべての入札で金銭的保証が選択されています。履行保証の主なものは、次の四種類。

①契約保証金

請負者が請負金額の10%を発注者に納付するもの。請負者には、工事完成まで資金が寝てしまうなど、不利な点が多いです。

②金銭保証

金融機関と前払金保証事業会社で扱っています。前払金保証事業会社を利用する場合は、前払金・契約保証の申込手続きが一回でできます。

③履行保証保険

請負者が発注者を被保険者とする保険契約を損保会社と締結し、発注者が損害を受けた場合に保険金が支払われます。

④履行ボンド

請負者が損保会社と保証委託契約を締結し、請負者に工事継続が困難な事態が生じた場合に発注者の損害をてん補します。

イ.付保割合10%の場合  約定の保証金額を支払う

ロ.付保割合30%の場合  残工事を他の建設業者によって完成させるか、30%の保証金額を支払う