建設工事の共同企業体(ジョイント・ベンチャー、以下「JV」という)とは、2つ以上の建設業者が、共同して一つの建設工事を受注して施工する事業を意味する。
建設業におけるJVは、「建設工事共同企業体」とも呼ばれ、現在、法的制度として確立していないので明確な法的定義はないが、一般的には、2つ以上の建設業者が共同連帯して工事の施工を行うことを合意して結合した事業組織体であるとされている。
したがって、日本のJVは、有機的な組織体をなしていると判断されるものの、それ自体として独立の法人格を有するものとは理解されていない。
国土交通省の通達をもとに、JVによって建設工事を施工する一般的な効用を次にまとめておく。
1.融資力の増大
大規模工事の場合、多額の運転資金を長期的に必要とするが、JVを組むことにより1社当りの資金負担額を軽減できる。このことにより、大規模工事への参加がしやすくなる。
2.危険負担
JVを組むことにより、大規模工事に伴う工事損失の危険の負担額を分散することができる。
3.技術の拡充、強化および経験の増大
工事経験の少ない建設業者も専門会社と組むことにより、工事技術の強化および経験の増大になる。
4.施工の確実性
JVの各構成員の強力、連帯責任により、単一業者との契約に比べ、工事の施工の確実性と安全性が確保できる。
国土交通省は、戦後一貫してJVの振興を図り、JVが有効に機能するための適切な通達をいくつか出しているので参照できる。
[入門] 建設業会計の基礎知識からの引用