1.概 要

個人住宅を除く殆どの工事では、請負代金が2,500万円(建築一式工事の場合は5,000万円)以上の工事に係る主任技術者又は監理技術者は、その工事現場に専任しなければならない。

 

2.根拠条文

① 建設業法第26条3項(主任・監理技術者の現場専任)

② 建設業法施行令第27条(専任を必要とする工事の範囲)

 

3.趣 旨

建設工事の安全かつ適正な施工を確保するために、元請下請の別にかかわらず、技術者が常時継続的に現場に置かれていることが必要です。

各工事現場に置かれる技術者は、職務を適正に遂行できる範囲においては、他の工事現場の技術者を兼ねることも想定されますが、公共性のある工作物に関する重要な工事については、工事目的物の品質の確保を徹底する必要があるので、他現場との兼務を禁止しています。

 

4.専任が求められる工事とは

主任技術者又は監理技術者の現場専任が求められる工事は、「公共性のある工作物に関する重要な工事」で、一件の請負金額が2,500万円(建築一式工事は5,000万円)以上のものと定められています。

「公共性のある工作物に関する重要な工事」には、発注者が公的機関でない、いわゆる民間工事が含まれており、個人住宅を除く殆どの工事がその対象となっています。

例えば、民間の工場・倉庫・マンション・旅館なども含まれます。

 

5.工事現場ごとに専任するとは

専任とは、他の工事現場の「主任技術者」又は「監理技術者」及び「営業所の専任技術者」との兼任を認めないことを意味します。

専任の主任技術者又は監理技術者は、常時継続的に担当する建設工事の現場に置かれていなければなりません。

 

6.「発注者から直接建設工事を請け負った場合」の専任期間

基本的に契約工期が専任期間となりますが、工事準備等の行為を含め工事現場が不稼動であることが手続上明確となっている場合については、必ずしも専任を要しません。

 

7.「工場製作のみが稼動している期間」に係る専任期間

橋梁工事等に含まれる工場製作過程が、同一工場内で他の同種工事に係る製作と一元的な管理体制のもとで行われる場合においては、工場製作のみが稼動している期間については、必ずしも専任を要しません。

 

8.下請工事であっても主任技術者の専任が必要

下請工事においては、施工が継続的に行われることが多いことを考慮し、専任の必要な期間は、当該下請工事(再下請負した工事があるときは、当該工事を含む。)の施工期間とされています。

そのため、工事が三次下請業者まで下請されている場合で、三次下請業者が作業を行っている日について、一次下請業者及び二次下請業者は自ら直接施工する工事がないときであっても、その主任技術者は現場に専任していなければなりません。

 

9.専任の技術者が他の工事の技術者を兼任できる例外

主任技術者については、現在専任している建設工事と密接な関係がある他の工事で、現在専任している工事と同一の場所又は近接した場所で施工される工事の主任技術者との兼務が認められています。

10.専任の監理技術者については、大規模な工事に係る総合的な監理を行う性格上、前述のような兼務は認められません。

例外的に、発注者が同一の建設業者と締結する契約工期の重複する複数の請負契約に係る工事であって、かつ、それぞれの工事の対象となる工作物等に一体性が認められるもの(当初の請負契約以外の請負契約が随時契約により締結されるものに限る)に限っては兼務が例外的に認められています。