○ 質問

建設工事の契約を締結をして工事に着手しましたが、施主の都合により契約が解除されました。それまでに生じた費用の額に見合う工事代金を受領しました。この工事代金には、消費税は課税されますか。

 

○ 答え

工事契約を解除したことに伴う損害賠償金は課税されません。しかし、工事の途中であっても、建築物を相手方に引渡し場合には、課税の対象となります。

工事の途中で契約を解除し、それに伴って生じた損害を補填するために支払される損害賠償金は、資産の譲渡等の対価ではないため、課税の対象にはなりません。

ただし、建設工事が完成していない状態であっても、その未完成の建築物を相手方に引渡した場合において、受領した金銭がその引渡した建築物の対価であると認められるときは、たとえ、その名目が損害賠償金であったとしても、課税の対象になります。

消費税基本通達5-2-5に規定されています。

通達では、『損害賠償金のうち、心身又は資産につき加えられた損害の発生に伴い受けるものは、資産の譲渡等の対価に該当しないが、例えば、次に掲げる侵害賠償金のように、その実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは、資産の譲渡等の対価に該当することに留意する。』となっています。

1.損害を受けた棚卸資産が、加害者(加害者に代わって損害賠償金を支払う者を含む「以下、同じ」)に引き渡される場合で、当該棚卸資産そのまま又は軽微な修理を加えることにより使用できるときに、当該加害者から当該棚卸資産を所有する者が収受する損害賠償金

2.無体財産権の侵害を受けた場合に、加害者から当該無体財産権の権利者が収受する損害賠償金

3.不動産等の明渡しの遅滞により、加害者から賃貸人が収受する損害賠償金

通達の1に該当し、生じた費用の額に見合う工事代金は、棚卸資産に該当し、そのままという言葉が入っていますので、未完成のまま引渡した場合ということになります。