公共工事には様々なものがあります。例えば、道路や橋の建設。舗装工事。学校や病院などの公共施設を建築する工事。それら建築物などの補修工事。専門工種では、解体工事、電気工事、造園工事などがあります。

 建設会社が公共工事に参画したい場合には、それぞれの官公庁に入札参加申請することで可能になります。その前提として、都道府県や地方整備局で「経営事項審査」を受けなければなりません。現在の呼名は「経営規模等評価」です。業界用語で、「経審(けいしん)」と言っています。以下、経審と表現します。

 経審の結果通知書は、インターネット上で公開されています。

 評価方法は、経営内容から1級建築士などの技術者数まで、ほぼ会社の全容を知ることができます。誰でも簡単経審の結果通知書の情報を得ることができますので、建設業者にとっては、重要な会社の情報をいつでも見られていることになります。

 利用者にとっては、業績の良い会社か悪い会社か、どの程度の売上(工事)をしているのか、営業年数は何年か、自己資本はいくらあるのか、建設業者をチェックする情報源となります。

 施主が良い工務店や造園業者を探すときにも、元請会社が下請会社を選別する時にも利用されています。反対に、下請会社が元請会社の調査をする時にも利用できるわけです。金融機関でも、経審(けいしん)の結果通知書を参考にされています。役所の仕事はしないが、社会的信用のために「経営事項審査」を受ける建設会社もあります。

 このように経審の結果通知書は、建設業者の通信簿であり、重要な書類の一つです。そこで「結果通知書」に何が載っているのか簡単にまとめてみました。

 

⑴ 建設業者の通信簿(何を見るか)

 大きく5つの区分で評価していき、総合評定値(P点)が計算されます。

 ① 経営規模(X1) → 完成工事高(2年か3年の年間平均でみます)

 ② 経営規模(X2) → 自己資本額と職員数

 ③ 技術力(Z)   → 技術職員数(1級・2級などの資格者)

 ④ 経営状況分析(Y)→ 決算書の分析値(8つの指標があります)

 ⑤ 社会性の評価(W)→ 労働福祉の状況・工事の安全成績・営業年数など

   総合評定値(P点)→ ①+②+③+④+⑤

 

 上記の①経営規模(X1)から⑤社会性の評価(W)まで、各項目の評点を一定の計算式に基づいて算出されます。その評点にウェイトを掛けた値が各項目の点数になります。その合計点が「総合評定値=P点」と表現され、総合評定値(P点)が建設業者の通信簿です。また、Y点(経営状況)もP点の中に含まれている点数ですが、Y点そのものは、決算書から導き出された経営分析値ですので、非常に参考になります。

 

 ⑵ 各項目のウェイト

 ① 経営規模(X1) → 25%

 ② 経営規模(X2) → 15%

 ③ 技術力(Z)   → 25%

 ④ 経営状況分析(Y)→ 20%

 ⑤ 社会性の評価(W)→ 15% 

    総合評定値(P点)  100%

 

⑶ 総合評定値(P点)

 各区分ごとに一定の計算方法があって、各区分ごとに評点がでます。その各評点にウェイトの%を掛けた結果が各項目の点数になり、その合計額が総合評定値(P点)になります。

 計算式は(P点=X1×0.25+X2×0.15+Z×0.25+Y×0.2+W×0.15)です。

 最高点が2,134点で、最低点が281点です。

 

⑷ P点・Y点について

 P点の800点以上が、5段階評価の通信簿でいうと「4」になります。P点の700点は「3」です。700点以下の会社は努力しましよう。

 経営状況のY点も非常に大事です。経審におけるY点のウェイトは20%ですので、Y点が800点あれば、P点換算で160点になります。Y点の評点だけで見れば、800点が5段階評価の通信簿でいうと「4」になり、財務内容が優秀な会社になってきます。

 P点よりもY点のほうが重要で、Y点が500点以下の会社は、かなり借金体質の会社になり、役所も銀行も敬遠しがちになります。

 経営状況分析(Y点)の最高点が1,593点で、最低点が0点です。