個としての勝負があります。行政書士で言えば、大きな事務所、小さな事務所。大御所的存在の先生、開業年数の少ない先生。いろいろです。

 お互いライバルどうしで、仕事の取り合いのように思えます。例えば、建設業許可の手続や経営事項審査の得意先を1,000件以上も抱える事務所があります。かたや、同じ年度に開業し、同じように建設関連の仕事を手がけてきても、500件しかない先生もいらっしゃいます。

 勝負でいえば、500件の先生が負けです。確かに、個々の事務所での勝ち負けがあります。しかし、行政書士業界全体で見れば、そういうチャンピオン的存在の先生やそれに追随する多くの先生方がいらっしゃるから、建設業許可が行政書士の業務として定着しポピュラーになりました。

 個々での勝者があり、敗者があります。しかし、建設業許可の全体から見れば、敗者の先生も含め行政書士全体が、勝者の影響力を受け、恩恵に与(あず)かっているところがあります。

 つまり、建設業許可に関して、全体として見れば、他の組合や団体に勝るようになり、我々の確実な業務になったわけです。

 同じようなことが、帰化申請にもいえます。この業務は司法書士も行政書士も可能な手続です。しかし、圧倒的に行政書士の先生方が多く、帰化といえば、行政書士になっています。

 個人間の熾烈な競争があり、その結果、勝ち負けが出てきますが、もっと大きな目で見れば、世の中を発展させていく原動力にもなっています。勝ちも負けもない世界は、必ず停滞を生むことになり、業界の発展性がなくなり、いずれ国が衰退していくしかありません。

 個々のチャンピオン先生のおかげで、行政書士業界全体が発展し、全体で勝っていることになります。優れた提案をしたり、新しい仕事をつくり出す、優秀な先生、傑出した先生方がいてくれた方がよいのです。その結果、まわりの人が負けているように見えても、実は、業界全体の勝利になることがあります。

 これは経済原理です。業界全体が膨らんでいく話です。運送業にしても、風俗営業の仕事も同じことが言えます。権利義務・事実証明の業務も同じことです。

 それが今回の専門部会の大きな考え方です。この「勝ち負けの経済原則」を知っていただきたいです。ご自分が苦労した仕事を、多くの先生方に広めていただきたい。それは甘い、間違っているとおっしゃる先生もいらっしゃいます。

 しかし、大きな目で捉えていただきたい。業界全体の発展につながることが、個々の先生方の発展につながります。自分だけの発展というのは、経済原理になりません。業界全体が発展すれば、多くの先生方が、その恩恵に与(あず)かることができます。その業務がメジャーになっていきます。

 そのためにも、専門部会の活性化と研修会の見直しが必要だと思います。