信託契約がスタートすると、受託者がする仕事は信託内容によって様々です。例えば、認知症対策として、父親が委託者になり、長男が受託者、受益者は委託者と同じ父親とします。父親が長男に自宅の居住用不動産を信託すると、受託者は長男になり、長男はその不動産の管理等をしなければなりません。これが、受託者の仕事の一つでもあります。
これ以外にも、受託者の仕事は信託内容によって変化しますが、ここでは、税務署へ提出する書類について述べます。
1.信託に関する受益者別調書・信託に関する受益者別調書合計表
上記二つの書類は、信託設計時に受託者の所在地の所轄税務署長に、事由が生じた日の属する月の翌月末日までに提出しなければなりません。上記の例では、受託者が長男ですから、長男の住まいを管轄する税務署に提出します。
但し、信託財産の相続税評価額が50万円以下である場合や、設計時に委託者と受益者が同一である場合には、提出する必要がありません。上記の例では、委託者が父親であり、受益者も父親ですから提出不要です。
2.信託の計算書・信託の計算合計表
上記二つの書類も、受託者の所在地の所轄税務署長に毎年翌年の1月31日までに提出しなければなりません。但し、信託の収益の合計額が3万円以下の場合は、信託の計算書を提出する必要がありません。
上記の例では、信託する財産は居住用不動産であり収益を生まないので、提出不要です。
例えば、マンション等の収益物件を信託した場合は、家賃収入がありますので、この二つの書類を毎年提出しなければなりません。