運用方針〔4〕2-3イに「軸組み、外壁又は荷ずりの強度」が規定されています。
⑴ 軸組み、外壁又は荷ずりは、2,500N(ニュートン)/㎡以上の荷重に耐えられる強度を有していなければならない。
軸組み、外壁又は荷ずりが2,500N(ニュートン)/㎡以上の荷重に耐えられる強度を有している倉庫とは、以下のものをいう。 なお、外壁に窓その他の開口部が設けられている場合であって、当該開口部の幅及び高さがいずれも内法寸法で1m以上である場合にあっては、当該開口部の設けられている部分は十分な強度を有している外壁とは認められない。 ただし、当該開口部が下地板、角材等により補強されている場合、鉄格子により防御されている場合、開口部にJIS規格S-6グレード以上の建具が設けられている場合等十分な強度を有すると認められる場合にあっては、この限りではない。 a 建築基準法の基準に適合する鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、補強コンクリートブロック造又は煉瓦造、石造、コンクリートブロック造りの組積造の倉庫 b 鉄骨造又は木造の軸組みを有する倉庫であって、以下のいずれかに該当するもの ・76㎝以下の間隔で設けられた荷ずり及び90㎝以下の間隔で設けられた胴縁を有するもの ・下地板又は内壁(木板、木毛セメント板又は石膏ボード類にあっては厚さ1.2㎝以上、硬質木片セメント板、合板の類にあっては厚さ0.9㎝以上のものに限る。)を有するとともに、90㎝以下の間隔で設けられた胴縁を有するもの c プレキャストコンクリート板、軽量気泡コンクリート板若しくはセメント成型板の外壁を有すること又はこれら以外のパネル製の外壁を有する倉庫であり、かつ、当該パネルの許容荷重が2,500N/㎡以上となるように、当該パネルの長さ(1枚のパネルであっても、当該間柱・胴縁の間隔分の幅を有する複数枚のパネルであるものとして取り扱うこととする。)が設定されているもの パネルの基準適合性を審査する場合にあっては、パネルを製造したメーカー等の作成した、パネルの長さと許容荷重との相関関係を表にした資料等を適宜参考にすること。 d a~cの基準に該当しない構造であってメーカー、民間の建築士事務所その他の者の行った検査により、当該軸組み、外壁又は荷ずりが2,500N/㎡以上の荷重に耐えられる強度を有することが証明できるもの |
軸組み、外壁又は荷ずりの強度は、N(ニュートン)という単位が使われていますが、1N(ニュートン)は約0.102㎏です。したがって、2,500Nは約255㎏になります。1㎡当たり約255㎏の荷重に耐えられる軸組み、外壁、荷ずりが求められます。
鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造などは問題なく、これらの基準をクリアしますが、鉄骨造や木造の軸組みを有する倉庫は、上記のとおり下地材や胴縁等に条件が付されていますので、その調査が必要になります。
以上が原則であり、「荷崩れのおそれのない措置」を講じておれば、軸組み、外壁又は荷ずりが上記⑴の基準を満たしていることを要しないとなっています。例えば、ラックを使用して貨物を保管している場合がそれに該当します。
次に「荷崩れのおそれのない措置」について、運用方針の規定を述べます。
⑵ 「荷崩れのおそれのない措置」として以下の措置が講じられている場合にあっては、軸組み、外壁又は荷ずりが⑴の基準を満たしていることを要しない。
a ラックを使用して貨物を保管している場合又は貨物を平積みにしている場合等、保管の態様又は貨物の性状からみて、荷崩れが発生する危険のない場合。 この場合にあっては、倉庫の図面中においてラックの配置状況及び構造の概要を示すこととする。 b 外壁から離れた場所(外壁から貨物の高さと同じ距離(高さが6m以上の場合にあっては、6mの距離)をとることとする。)に貨物を配置している場合等荷崩れが発生した場合でも貨物の配置上外壁に損傷を与えるおそれがない場合。 この場合にあっては、倉庫の図面中において貨物の配置箇所を明示しておくとともに、倉庫内においても白線を引く等により当該箇所の明示の上、指定箇所外に貨物を置かないように当該倉庫業者において従業員に周知徹底を図るものとする。 なお、庫内の貨物が、貨物の性状から見て一定の高さ以上に積まれることのない場合にあっては、外壁のうちその高さより上の部分については、bに該当するものとして取り扱うこととするが、この場合についても、同様に貨物を置く高さの上限を壁に白線を引く等により明示した上で、その高さ以上に貨物を積まないように当該倉庫業者において従業員に周知徹底を図るものとする。 |
上記のように、ラックを使用する場合、貨物の平積み等、詳細に規定されていますが、これらに該当する営業倉庫なら、軸組み、外壁又は荷ずりが2,500N(ニュートン)/㎡以上なくても対応できることになります。
また、荷ずりに関しては、荷ずりを設置している倉庫、設置していない倉庫など様々です。荷ずりがなくても、ラックを使用した貨物なら営業倉庫の基準がクリアします。