複数の得意先の社長から、お聴きした話です。

 建設会社が下請先に支払う外注費について、注意すべきことです。

 大半の下請先からの請求書・領収書に関しては、住所、会社名(屋号)、代表者の氏名、電話番号等が記載されていて、税務調査の際にも問題なく、経費性が容認されていると思います。

 しかし、特に一人親方からの請求書・領収書に関して、住所の記載がない場合や、屋号しかなく代表者の氏名がない場合、連絡先の記載がない等々、いわゆる不備な請求書・領収書を時々見ることがあります。このような請求書・領収書は、税務調査時には、調査員の目に留まりやすく、こういう領収書に限って、一人親方らは、自身の確定申告もしていないケースが多いようです。

 支払をされている建設会社は、これらの外注先に銀行振込で支払いをされていても、ケースによっては、その外注費を即座に容認されないケースもあるらしい。

 税務署の目線では、例えば、屋号しか書かれていない外注先への支払いについては、その時点では、支払いをしている建設会社が正しいのか、支払いを受けている一人親方の方が正しいのか、判断されないのが税務署の対応です。先方の情報を入手するなり、調査してから判断されるのが、税務署の見方と考え方です。

 こういう場合は、その一人親方に税務調査があるとみて良いと考えます。税務調査を受けている建設会社ではなく、その会社の支払先の領収書等から疑わしい外注先を抽出し、これらの外注先に税務調査に入ることがよくあります。いわゆる反面調査です。特に、税務調査を受けている建設会社に問題がなくとも、疑わしい外注先の反面調査が行われているようです。

 もっとも、支払いをされる建設会社と、支払い受ける外注先が結託して、その外注費を後からバックするような悪質な場合は論外です。

 上記のような理由で、建設会社では、特に一人親方に対する請求書・領収書には注意を促す必要があります。元請と下請の良好な関係を維持するためにも、重要なことだと考えます。

 インボイス制度がスタートする令和5年10月1日以後は、なおさら注意喚起が必要だと考えます。