事業開始に要する資金の裏付書類として、一般的には預貯金の残高証明書を求めるケースが基本です。しかし、流動資産の売掛金を認めるケースは、各運輸局での取扱いは異なると理解なさってください。

 以下、分かる範囲で各運輸局の資料にも基づき、説明していきます。

 

1.近畿運輸局

 近畿運輸局では、「細部取扱について」の資金計画が明記されています。

 

 自己資金には、当該申請事業に係る預貯金のほか、処分権者の判断により預貯金以外の流動資産も含めることができることとする。

・預貯金額は、申請日時点及び処分までの適宜の時点の残高証明書等の(提示又は)写しの提出をもって確認するものとする。

・預貯金以外の流動資産額については、申請日時点の見込み貸借対照表等をもって確認するものとする。

・その他貨物自動車運送事業法施行規則第3条第6号から第8号に規定する添付書類を基本とし審査すること。

 

 近畿運輸局では、「自己資金には、当該申請事業に係る預貯金のほか、処分権者の判断により預貯金以外の流動資産も含めることができることとする」と記載されていますので、行政側の判断が優先し、売掛金の疎明資料が求められると考えます。

 また、預貯金以外の流動資産額については、申請日時点の見込み貸借対照表等をもって確認するものとすると記載されていますので、貸借対照表以外の疎明書類が必要になってくると考えます。

 さらに、施行規則第3条第6号から第8号に規定する添付書類を基本とし審査すること記載されています。第6号の規定は、既存法人の場合には、最近の事業年度における貸借対照表です。第7号の規定は、法人を設立しようとする場合には、株式の引受けの状況及び見込みを記載した書類です。第8号の規定は、個人申請の場合には、財産目録となっています。

 上記のように、行政側の判断のもとに審査が行われますので、事前に行政側と打ち合わせをされる事が寛容かと考えます。預貯金以外の売掛金等が100%認められるとは限らないと考えます。

 全国の運輸局で逐一確認したわけではありませんが、どうやら、預貯金以外の流動資産を認めた事例が少なく、疎明資料に関しては、明確な回答がありませんでした。

 

2.中国運輸局

 中国運輸局も細部取扱いに記載されていて、近畿運輸局と全く同じ文言です。

 電話で確認しましたが、預貯金以外の流動資産を認めて事例が少なく、疎明資料に関しては、明確な回答がありませんでした。

 

3.関東運輸局

 関東運輸局では、「細部取扱について」の資金計画が明記されています。

 

② 自己資金には、当該申請事業に係る預貯金を基本とする。ただし、関東運輸局長が認めた場合に限り、預貯金以外の流動資産も含めることができることとする。

③ 預貯金額は、申請日時点及び処分までの適宜の時点の残高証明書等の提出をもって確認するものとする。

④ 預貯金以外の流動資産額については、申請日時点及び処分までの適宜の時点の見込み貸借対照表等をもって確認するものとする。

⑤ その他貨物自動車運送事業法施行規則第3条第6号から第8号に規定する添付書類を基本とし審査することとする。

 

 関東運輸局の場合は、「ただし、関東運輸局長が認めた場合に限り、預貯金以外の流動資産も含めることができることとする」と記載されていますので、近畿運輸局の場合と同じ意味だと解せます。つまり、近畿運輸局の場合は「処分権者の判断により預貯金以外の流動資産も含めることができることとする」と記載されているからです。

 

4.四国運輸局

 四国運輸局も細部取扱いに記載されていて、近畿運輸局と全く同じ文言です。

 

5.中部運輸局

 中部運輸局では、細部取扱いではなく、「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の申請事案の処理方針について」の箇所に記載されていました。

 

 

自己資金については、

②自己資金は、当該申請事業に係る預貯金の額とする。

 

(2)資金調達①所要資金の見積りが適切なものであり、調達について十分な裏付けがあること。

②自己資金が、申請日以降許可日までの間、常時確保されていること。

③施行規則第3条第2号に規定する添付書類は、別紙様式2を例とする。

④資金の調達については、次に掲げる書類の提出により判定する。

(ア)預貯金額の確認について

申請日時点及び処分までの適宜の時点の残高証明書等の(提示又は)写しの提出をもって確認するものとする。

(イ)預貯金以外の流動資産について

中部運輸局長が認める場合にあっては、預貯金以外の流動資産も含めることができることとする。この場合、預貯金以外の流動資産の額については申請日時点の見込み貸借対照表等をもって確認するものとする。

 

 中部運輸局では、明確に「自己資金は、当該申請事業に係る預貯金の額とする」と定めています。預貯金が原則です。そして、預貯金以外の流動資産については、「中部運輸局長が認める場合にあっては、預貯金以外の流動資産も含めることができることとする」と規定されています。

 

 以上のように、流動資産の売掛金を認めるケースは、行政側の判断に委ねるしかなく、事前の打ち合わせが重要なポイントになります。