過乾燥。家の中が乾燥しすぎること。これも、山本順三さんの「無暖房・無冷房の家に住む(三一書房)」から引用させていただきます。

音と過乾燥こそ、外張り断熱の泣き所である。

ペットボトルの中に一滴の水蒸気があってもガラスに水滴を作る天敵であるから、全部を強制換気で外に叩き出す。外張り断熱の入り口でそのように定められている。

その結果、断熱屋が建てた住まいの湿度とは冬場で20~30%もの差がある。そのために風邪を引きやすく、引いたら治らない。アトピーや喘息は悪くなってもよくはならない。観葉植物は育たない。女性は肌が荒れて化粧が乗らない。だいたい、観葉植物が育たない、枯れるということは、とてつもない大きな意味がある。

鵜野日出男氏(『高気密住宅を拓く先覚者、先住人』の著者)と小峰裕己氏(千葉工業大学教授)はいわゆる「R-2000-住宅」に住んでおられて、その対談がある。

鵜野氏:「私どもの採用している換気装置には、除加湿機能がついています。加湿については今まで苦労しました。ダイキン工業が透湿膜という画期的加湿システムを開発してくれて、20℃で45%の程度の加湿器が得られるようになった。しかし、室温を23℃に上げると相対温度は40%を切ります。とくに昨年暮れから今年の1月24日までは雨がなくカラカラに乾燥していたので、35%を切ることもあった。出来ればあと5%は上げたいが、そのためには加湿器の温度を上げる必要があり、電気代が余分にかかるので迷っています」

小峰教授:「加湿器に関しては、貴社はうまくいっている方です。私の家に設置したダクト式セントラル換気・冷暖房システムは加湿装置がないので、昨年は19℃で38%程度でした。今年はこのとおり雨が少なく乾燥しきっていたので、せいぜい20%を越える程度、この乾燥に耐えられずヒーター過熱式(蒸気式)携帯型加湿器を2台入れ、常時運転で30%を維持しています。たしかに加湿時空気の温度を上げれば多く加湿出来ます。しかし、費用対策ということを考えると、加湿器を付けることが良いのかどうか、やたらな過剰装置は考えものです。今年のような異常乾燥には、簡易加湿器で対応するのが正解かもしれない。しかし、毎日3、4回、タンクに水を補給する面倒な仕事があります(笑)」

―――文字通り、日本を代表するような断熱界の先生と業界トップの経営者にして、この程度の幼稚園レベルでしかない。水蒸気(水分子)を通せんぼする、しか能がない。「透湿させれば結露しない」という山本理論など聞いたら卒倒するか、無視するしか方法がない。月とスッポンとはこのようなものを指す。

断熱屋の住まいは、何もしないで冬場に40%ある。一方、過乾燥住宅では、室内の水蒸気は1滴なりとも許せないから、24時間強制換気で叩き出せ。その結果、20%を切るような超過乾燥状態になるので加湿器を手放せない。20%台の湿度では、普段から皮膚が乾燥気味の人では頬をこするとボロボロ剥げ落ちる人もいる。繰り返すようですが、20%と40%では体感温度において3~5℃ほども違いがあるものだ。

彼らが快適というのは、ロボットが生活するような環境であるらしい。観葉植物が育たない環境というものは、ヒトにどのような影響があるのか考えたこともない。