断熱屋の山本順三さんが「無暖房・無冷房の家に住む」の中で、絶賛されている防水材の「リポールマイティ」の紹介です。埼玉県朝霞市にある、山本さんの「体験館」の建築にも、屋根の防水にリポールマイティを使用されています。
本の抜粋ですが、このように書かれています。
世界最強のすぐれもの。プロでもあまり聞いたことのない名前であろう。だが、断熱屋は世界最強もしくは史上最強の防水材であると信じている。
従来の防水工事といえば、アスファルト防水、シート防水、ウレタン防水、FRP(強化プラスチック)防水があり、近頃ではFRPが圧倒的なシェアを受け持っている。その理由は安価であること、手軽であること、腐らないこと、船などは軽さで他の追従を許さない。そのような特徴があるので現在でも他を引き離している。
FRPは公園の遊具を始めとして、野球場などのベンチに、小型船舶の船体に、一般家庭ではペランダやお風呂などの防水といえば、黙っていても建築屋はFRPを用意している。
だが、圧倒的な欠点を持っているので列挙する。
①プラスチックであるから、タバコの火が落ちて溶けたり焦げたりする。ベランダでバーベキューを楽しんでいて火災になった例もある。
②日当たりの良いところなどでは経年変化によって、表面がボロボロになってしまう。
③施工時にいかなる種類なのか知らないが、かなり強烈に臭いが発散する。
④一番困るのが廃棄時の処分である。船舶などは海岸に放置したものがあり、公害問題にまで発展している。
では、リポールマイティとはいかなるものであるか。
特徴として、臭気がない、水性一液で有機溶剤は使用していない、VOCとなる物質は含有していない、VOCやホルムアルデヒト類が発生しない――という項目がある。ハンマーで破壊すると、ただの砂になってしまうから環境問題は発生しない。つまり破棄することを、リサイクルすることを作るときから考えている。
リポールマイティをはじめて見たとき、ガスバーナーで真っ赤になっただけで燃えないので驚いたことがある。また、接着相手を選ばず何にでも密着するから、複合建材が多くなった近年の建物では救いだと思う。手塗りで7層に塗るので、その都度、ピンクになったり、青になったり塗り斑をなくする手法を用いている。
アスファルト防水などは、10年一区切りで全面やり直しするか、一部補修するかが常識であれば、半永久のリポールマイティは、イニシャルコストが多少高くてもトータルコストにおいて格段の差がつく。それは施主と設計の決断に委ねられるものと思う。
これほど優れた防水工法は、史上最強ともいえるものだが、町の断熱屋が10年以上の前から、その存在を知っており、感度の鋭い工務店は当時から常用していた。
船舶、鉄道車両、病院などの細菌施設、工業施設、一般住宅では屋上、屋根、ベランダ、風呂場など水回りの需要は急激に拡大している。