世界最高齢記録保持者は、フランス人のジャンヌ・カルマンさんです。122歳164日でこの世を去っています。日本人の田中カ子(かね)さんは、119歳107日で第2位です。

 実際に120歳まで生きる人は少ないでしょうが、「人生、120年」と思って生きると、愚痴や不平不満が消えていきます。そして、その途中の80歳や90歳で亡くなったとしても、素晴らしい人生ではないしょうか。

 年を取ると、「人生が残り少ない」という不満を言いがちですが、それを言ったところで、人生はよくなりません。むしろ、人生を120年と思って、残りの人生を生きることが良いと考えます。「120歳まで生きる」と考えれば、たいていの人は人生がまだ何十年もあります。例えば、60歳の人であれば、まだ60年も残っています。

 そう考えると、これから何をするか逆算できます。「これから60年も生きるのならば、こんなところで愚痴を言ってはいられない。自分がやらねばならないことは、たくさんある。これもやらなければならないし、あれもやらなければいけない」と、今後の計画が立ってきます。

 積極的、建設的な未来を心に描くことができます。その最も良い方法は、「120歳人生説」を信じて、残りの人生を生きることだと思います。

 人間が地上を去る理由の殆どは、地上にいる必要がなくなること、地上にいる存在意義がなくなることです。地上での存在意義がある人の寿命は、延ばそうと思えば延ばすことができると考えます。ところが、たいていの人は65歳ぐらいで仕事がなくなってしまいます。仕事がなくては、そのあと60年も生きられません。

 ゆえに、第二、第三の人生を設計しておくことが極めて大切です。できれば、それまでとは違った人生を開いていくのが望ましいと思います。

 例えば、会社の社長が80歳以上では困るでしょうから、ある会社で70歳や80歳まで社長として働いたならば、後進の者たちのためにも社長の座を譲り、次の人生を始めていくべきでしょう。そのためには、その時期が来る十年ぐらい前から準備を始め、違った人生を設計しておくことが必要です。「70歳になったら、このようにいきるぞ」と思い、その準備を60歳から始めておきます。あるいは、「80歳からは、こう生きるぞ」と考え、70歳から準備しておきます。やるべき事を確実に決めておきます。

 趣味を膨らますことでも、ボランテァ活動でも、若い頃に出来なかった事でも良いです。音楽でも、絵画でも、健康を考えた適度な運動でも、その人に相応しい何かを発見して、それを膨らましていきます。いくらでもあります。私の場合は、本を1冊でも多く出版することが趣味ですから、忙しく毎日を過ごしています。個人的には、人生150年を設定しています。すると、あと75年もあります。100冊以上の本が出版できそうです。素敵な恋もできるかも知れません。

 こういう準備をしていくうちに、建設的、積極的な心構えになってきます。また、やらねばないらないことがたくさんあるので、時間が惜しくなってきます。このように前向きに生きていると、他の人に愚痴や不平を言っている暇がなくなります。これは極めて幸福な状態です。

 やはり、晩年も光り輝いた人生にすべきでしょう。そのほうが自分も他人も幸福だと思いませんか。素晴らしい晩年にしていきましょう。