十数年前の話ですが、お二人の女性を交えて、あの世の話をさせていただきました。

「美波ちゃん、あの世があることを信じますか」

「よく分かりません。あの世なんか、ないんじゃないですか」

「和美ちゃんは、人間の生まれ変わりを信じますか」

「私は信じます。生まれ変わりがあるように思います」

「そうですか。和美ちゃんは信じるほうですか。美波ちゃんは信じませんか」

「だって、あの世があるって、何か証明するものがあるんですか。ところで、先生は信じているのですか」

「私は100%信じています。証明するものは何もありませんが、私は少し霊視ができます」

「霊視って、何ですか」

「通常、人間の目に映るものはみんな同じでしょう。花は花に見えるし、犬は犬に見えるし、人間は人間として認識しますね。ところが、私は生きている人じゃなくて、亡くなった人の霊というか、霊人の姿が見えます。幽霊は見たことはありませんが、お坊さんの姿をした霊人や、白い羽で飛んでいる天使の姿を見ることができます。いつもではありませんが、見ようと意識すれば、自然と見えてきます。不思議ですが見えます。この現象があの世の証明になるかどうかは分かりませんが、確かに霊人の姿が見えますから、天国は確実にあると信じています」

「私が霊視できることを証明するものは、何もありませんが、私自身が実体験した事ですから、自信を持って言えます」

「美波ちゃんの守護霊さんも、和美ちゃんの守護霊さんも、見えますよ」

「守護霊って、何ですか」

「私、聞いたことがあります。魂の兄弟でしょう。自分のことを見守ってくれている魂の兄弟の事でしょう」

「和美ちゃん、そのとおりです。守護霊は魂の兄弟です。魂の兄弟は、自分も含めて6人のグループで構成されています。そのうちの一人が肉体を持って、この世に生まれて来たわけです。美波ちゃんの魂も和美ちゃんの魂も、現に今、お二人の肉体に宿っています。肉体はいずれ消滅しますが、魂(心)の方は、あの世に帰ります。魂は死ぬことはありません。永遠です。一旦、あの世に帰り、また、違う両親を選んで、この世に生まれてきます。これが生まれ変わりのシステムです。仏教で言われる「転生輪廻(てんしょうりんね)ですね」

「魂の兄弟が順番に生まれ変わります。但し、地獄に落ちた兄弟は生まれ変わることが一時的にできません。反省をして天国に戻ってきた時に、また、肉体を持って生まれ変わります。守護霊さんは、自分より前に肉体を持っていた魂の兄弟の一人で、一番、霊格の高い兄弟と思ってください」

「先生、よく知っていますね」

「私は37歳の時に、潜在意識に目覚め、自分の過去世を知りました。その時から、多少なり霊視ができるようになりました。それから、あの世の事に興味を持ち、仏教書などを読んできたから、普通の人より知っているだけです」

「だから、美波ちゃん、人間の生まれ変わりやあの世があることを信じた方が良いですよ」

「どうしてですか」

「だって、人間は死んだら何もかもなくなり、この世限りの人生だったら、好きな事をして生きれば良いじゃないですか。勉強もしなくても良いし、一生懸命に働く必要もないでしょう。もちろん、良い学校に進学するために勉強したり、良い会社に就職するために努力することもあるでしょう。一生懸命に努力することが、学歴や地位や収入など、この世的な幸福を得ることにつながるとしても、死ねばすべてが終わりになるなら、そのような幸福は虚しいものと思いませんか」

「この世で努力して身につけたものは、死後の世界に持って帰れますよ。肉体じやなくて、魂(心)がちゃんと覚えているからです。死後の世界においても、自分の努力してきた事が活かせるのです。だからこそ努力することに意味があり、その努力が素晴らしく思えるのではないでしょうか」

「美波ちゃんは、死ねば何もかもなくなってしまうと考えますか、死後も人格は残り、一生懸命に努力していれば、死後も、素晴らしい活躍が続けられると考えますか。どちらに賭けますか。また、一生懸命に努力した事は、次の生まれ変わりの時に持っていけるのですよ。だからこそ、努力のし甲斐があると思いませんか」

「肉体は生まれ変わるたびに、違う肉体に宿りますが、魂(心)は、その人自身のものであり、永遠に変わりません。また、魂の兄弟が経験したことは、6人で共有できますから、素晴らしいと思いませんか」

「私、先生の話を聞いて、がんばってみようと思いました。人間の生まれ変わりを信じるようにします。その方が得なんですね」

「そうです。損得勘定で考えても得です。良かった。美波ちゃんの未来が、これから良い方向に動き出しますよ。守護霊さんも喜んでおられます」

「先生、私もがんばります。また、時間を創ってください」

「和美ちゃんの守護霊さんも、嬉しく微笑んでいらっしゃいます」

 その後、お二人は、努力されて一流大学を卒業されました。美波ちゃんは、外資系の商社に勤務されていて、今はドイツで頑張っていらっしゃいます。和美ちゃんは、地元の役所で福祉関係の課長をされています。