事業の失敗について、政府が悪い、景気が悪い、下請業者が現場で損失を出したので儲からない、銀行が融資をしてくれないから資金繰りが悪くなった等々、失敗の原因は、外部要因も確かにあり、会社が傾くこともあるでしょう。

 しかし事業で失敗した人は、これらのことを合理的に説明するために、自分以外のところに責任を持っていく傾向が強いように思います。自分以外のところに責任を持っていくタイプの人は、基本的に、自分の仕事がよくなることを目指していないように見えます。

 これは気をつけなければいけないところで、失敗をいくら上手に説明したところで、それが成功に変わることはありません。

 そうではなく、それらを見つけて、そういう失敗を起こさないように努力して、工夫をしたり、創造性を発揮したりすることが大事だと考えます。もし、景気が悪いためにそうなったのであれば、景気の動向を事前に読めなかったり、あるいは、経済の勉強を怠っていたりした自分自信の責任を、もう少し考えたほうがよいと思います。また、他人を信用して失敗した場合には、自分自身の「人を見る目」が正確なのかどうかということを、やはり、もう一回、よく振り返る必要があります。

 事業等で失敗した人を見ると、信じるべきでない人を信じたりしています。相手の言うことをパッと信じてしまい、その話に乗って、倒産してしまうようなケースがあります。

 しかし、日ごろから、他の要因もあるが自分自身にも責任があると自己点検がきちんとできているタイプの人であれば、騙そうとして寄ってきている人のことをすぐに見抜けますし、むしろ、信頼できるよう人が近くに寄ってくるようになります。「うまい話」に引っ掛からないような傾向が出てきます。自分を護ってくれるようになります。

 人間というものは、「自分に似た者」が寄ってくるようになっており、正反対の性質を持っている者同士が、長く一緒に仕事をしたり、活動をしたりすることはできにくいものです。

 もし、「騙された」などと言うのであれば、あなたの考え方のなかにも、そういう面があったのではないかと自己点検してみてください。

 得意先のH社長は、たとえ相手が100%悪くても、自分自身にも1%か2%か悪いところがあったのではないかと真剣に考える方です。しかも、相手の方を責めるのではなく、自分自身の自己点検を再度確認されて、いつも良い方向にもっていかれます。

 このように、事業の成功・失敗には、やはり考え方の問題があります。

 成功していくには、自分以外のところに責任を持っていかず、自己点検なり自己反省をされて、反省から発展に向けて邁進されることで、成功の扉が動き出します。自分自身の未来が輝き始め、成功者に近づいていきます。