一般社団の生成優遇について、表2にまとめました。

 

  表2.一般社団の税制優遇について

 

項  目

税制優遇を受ける具体的な内容

概 要

共益的活動を目的とする法人 ☞ 収益事業のみ課税

※会費収入などの収益事業以外の収入が多い法人については、大きな税メリットを享受することができます。

共益的活動を目的とする法人

これには、業界団体や親睦会、同窓会などが該当します。

具体的な要件は、以下のとおり(法人税法施行令3②)

① 会員の相互の支援、交流、連絡その他の当該会員に共通する利益を図る活動を行うことをその主たる目的としていること。

② 定款に、その会員が会費として負担すべき金銭の額の定めまたは当該金銭の額を社員総会の決議により定める旨の定めがあること。

③ その主たる事業として収益事業を行っていないこと。

④ 定款に特定の個人または団体に剰余金の分配を受ける権利を与える旨の定めがないこと。

⑤ 定款に解散したときは、その残余財産が特定の個人または団体に帰属する旨の定めがないこと。

⑥ 特定の個人または団体に剰余金の分配その他の方法により特別の利益を与えることを決定し、または与えたことがないこと。

⑦ 各理事について、当該理事および当該理事の配偶者または三親等以内の親族その他の当該理事と特殊の関係のある者である理事の合計数の理事の総数のうちに占める割合が、3分の1以下であること。

実務上の留意点

 非営利型の一般社団法人については、収益事業課税のみとなるなど、大きな税メリットを享受できます。上記要件はすべて税法規定であるため、実態を伴っていなければ適用されないということです。

 すなわち、定款の定めの内容のみで一律に収益事業課税が適用されるのではないため、間接的に会員その他特別の者に対して利益分配を行っている場合など、実質的に上記要件を満たしていないものと税務当局から事実認定を受けた場合には、税務上「普通法人」とされることになるので留意が必要です。

 特に「特別な利益を与える行為」は、注意をしなければ実務上行ってしまいやすい行為です。原則として、これらの行為を一度でも行い、課税当局から否認された場合には、その事業年度から税務上のメリットはなくなり、全所得課税に移行となってしまいます。なお、全所得課税になった場合には、過去に受けていた優遇税制分についての課税も行われることになるので、さらなる注意も必要です。

 一般社団法人は、理事1人の機関設計が可能ですが、上記要件を充足するためには、少なくとも特殊関係にない3名以上の理事を置く必要があります。

特別の利益を与えること

次に掲げるような経済的利益の供与または金銭その他の資産の交付で、社会通念上不相当なものをいいます。

① 法人が、特定の個人または団体に対し、その所有する土地、建物その他の資産を無償または通常よりも低い賃貸料で貸し付けていること。

② 法人が、特定の個人または団体に対し、無利息または通常よりも低い利率で金銭を貸し付けていること。

③ 法人が、特定の個人または団体に対し、その所有する資産を無償または通常よりも低い対価で譲渡していること。

④ 法人が、特定の個人または団体から通常よりも高い賃借料により、土地、建物その他の資産を賃借していること、または通常よりも高い利率により金銭を借り受けていること。

⑤ 法人が、特定の個人または団体の所有する資産を通常より高い対価で譲り受けていること、または法人の事業の用に供すると認められない資産を取得していること。

⑥ 法人が、特定の個人に対し、過大な給与等を支給していること。

理事と特殊の関係にある者

① 理事の配偶者

② 理事の三等親以内の親族

③ 理事と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるもの

④ ①から③までに掲げる者以外の者で、その理事から受ける金銭その他の資産によって生計を維持している者

⑤ ③から④までに掲げる者と生計を一にする、これらの者の配偶者または三親等以内の親族

地方税の申告

毎年4月末までに、地方税の均等割だけ納める義務がある。

①法人市民税と法人府民税の均等割申告(約8万円)

②収益事業がある場合は、税務署に申告する必要がある。

 もちろん利益があれば、利益の32%の法人税等がかかる。