毎年2月末頃になると杉花粉が飛びだします。花粉症の方にとっては、いやな季節でしょう。しかし、花粉さん、大歓迎です。進藤義晴先生の「医者知らず『冷えとり』で完全健康人生(海竜社)」には、「花粉は目の敵にしないでしっかり吸えばいいのです。目の充血、かゆみ、くしゃみ、鼻水などにして、体の毒を全部出してしまえばいいのです」と書かれていました。

 なるほど、くしゃみ、鼻水などは、体内に溜まった毒素を出してくれているのですね。自分自身で体内に毒素をいっぱい溜めこんでいました。

 もう一つ進藤先生のお話です。「春は肝臓の季節です。肝臓は解毒器官ですから、毒素を体外に出して病気を治そうとして、一年中で、一番働きが活発になります。『さあ、毒を出すぞ!』と、体が毒出しの状態になっている時、その使者として杉の花粉が飛んできます」。

 私は肝臓に負担をかけていたのですね。肝臓さん、ごめんなさいと謝りました。長い長い間、私は花粉症とお友達でしたが、同じ杉花粉を吸っている妻や娘は何の症状もありませんでした。甘い物や菓子類が大好きな私は、毎日のように食事の後に食べていたので、体内に毒素をいっぱい溜めこんでいたのです。それと「食べ過ぎ」が原因でアレルギー体質に変身しました。もっとも、今は花粉症も治り、進藤先生と花粉さんに感謝しています。

「冷えとり」と「食べ過ぎ」に注意して、「冷え」を作らない生活をしていれば、毒が溜まらないので、くしゃみや鼻水などの症状は出ません。花粉症で悩む人は、特に「冷えとり」をしっかりやってみてください。それには、やはり「半身浴」と「5本指の靴下」をお勧めします。両方とも体内の毒素を出してくれるからです。「半身浴」と「5本指の靴下」の実践を二十年以上も続けていますと、花粉さんと仲良しになれますよ。

 私の場合は、春の杉花粉や秋のブタ草、ハウスダスト等などに反応し、一年中、目のかゆみ、くしゃみ、鼻水が止まりませんでした。その根本原因は、直接的に目や鼻が悪いのではなく、肝臓に多くの負担をかけていて、その毒素を取り除けばよいと理解するようになりました。もっとも、目や鼻が直接の原因になっている場合もあると思いますが、ここでは根本原因についてのお話です。

 進藤先生は、上記のような症状について「肩代わり」という言葉でよく表現されていました。肩代わりとは、例えば、本当は肝臓が病んでいるのですが、目や鼻が代わりに肝臓の悪いところを教えてくれています。腰痛や腰の冷えは、腰の病気ではなく、この場合には腎臓のに毒素が溜まっていて腎臓の悪い箇所を教えれてくれます。つまり、目鼻や腰、手足が、五臓六腑の悪い箇所に代わって、信号を送ってくれているということです。その根本原因である五臓六腑を正常な状態に戻してやれば、目鼻や腰、手足の症状が自然と消えていきます。

 最後に、肝臓に良い食べ物を書いておきます。

 進藤先生によると、「春は、肝臓の薬穀である麦の収穫時期ですので、小麦粉で作るめん類やパンを食べることをおすすめします。パンは、もちろん、天然酵母のものや全粒粉(ふすま)など入ったものにします。お米は二~三分つきの米に押し麦など一割ぐらい混ぜて炊きます」。「フキ、ワラビ、ゼンマイ、タケノコなど、春に穫れる食べものには、体の毒出しの働きを助ける性質がありますから、なるべく旬の野菜を食べるようにします」。

 毎日、口にするもので肝臓さんが喜ぶか、いやがるか、何も文句を言いません。毎日、肝臓さんに感謝しなら、旬の野菜をいただきましょう。東洋医学に医食同源(いしょくどうげん)という言葉があります。日頃からバランスの取れた食事をとることで病気を予防、治療できるとする考え方ですが、旬の野菜は薬になるということですね。

 そうすると、旬の野菜さんにも、くしゃみや鼻水の「本当の原因」を教えてくれた花粉さんにも感謝できるようになります。進藤先生、ありがとうございました。