広大地に該当するかしないかで、相続税・贈与税の税額を大きく左右されると言われています。ケースによれば、数千万円の違いが発生します。広大地の評価に詳しい不動産鑑定士に相談されることが賢明かと思います。
鎌倉靖二氏の著書『広大地評価(ケーススタディ)』からの引用になりますが、この書籍から多くのことを教えていただきました。
広大地の判定は10個ぐらいのポイントがあり、その中で「マンション敵地かどうかの見極め方」に興味を覚えました。順番に判定の見出しを述べていきます。これらをクリアしないと、広大地に該当しません。鎌倉氏は、『広大地評価は「できる」ではなく「する」もの』と力説されています。(同著P67)
1.大規模工場用地かどうかの見極め方。
つまり、「大規模工場用地」に該当しないことが条件の一つです。
2.マンション敵地かどうかの見極め方。
つまり、「マンション敵地」に該当しないことが条件の一つです。
近くに20年前、30年前に建っているマンションがあっても、広大地に該当することがあります。現地調査、役所調査、市場分析などが大事になってきます。
3.その地域の判定
その地域の判定とは、評価対象地が著しく大きいかどうかを判定する際に比較する土地の存するエリアのことです。
やはり、現地調査、役所調査、市場分析などが大事です。
4.標準的な宅地の面積の判定
戸建住宅が多いのか、分譲マンションが多いのか、店舗が多いのか、事務所ビルが多いのか、工場が多いのか、その地域の標準的といえる利用方法が何かを判断しなければなりません。
つまり、最も有効な土地利用が「マンション敵地」に該当しなければ、条件の一つをクリアできます。(同著P35)
5.著しく地積が広大かどうかの判定
市街化区域で、三大都市圏は500㎡以上となっています。それ以外の地域は1,000㎡以上です。つまり大阪では500㎡以上が目安になります。
しかし、鎌倉氏は500㎡未満でも広大地として評価できるケースもあると述べられています。詳しくは同著を参照ください。
6.公共公益的施設用地(つぶれ地)が生じるか
つぶれ地とは、らんぼうですが、開発区域内に新設される道路のことです。公園もつぶれ地になります。
開発行為を行うとした場合に、「つぶれ地」が出来ないと、条件の一つがクリアしません。
7.開発許可面積基準(500㎡、1,000㎡)未満の土地は、適用可能か
鎌倉氏は「開発許可面積基準は絶対条件ではない」と述べられ、ミニ開発分譲について、国税庁の17年情報を引用され説明されています。つまり、500㎡未満でも、条件の一つをクリアできる場合があると、詳しく述べられています。
8.相続開始時点において建物が建っている敷地での適用は可能か
鎌倉氏は「評価対象地に建物が建っていても広大地の適用は可能です」と述べられています。国税庁の17年情報を引用され説明されています。
9.市街化調整区域内の広大な土地は適用可能か
一般的には、市街化調整区域内は該当しないのですが、広大地に該当するケースもあると述べられています。
10.広大な市街地農地・市街地山林などを広大地評価する際の留意点とは
広大な市街地農地・広大な市街地山林、広大な市街地山林、広大な市街地原野は、いずれも広大地の要件を満たすのであれば、広大地評価すると規定されています。(財産評価基本通達40-2他)
以上、広大地の判定を詳述され、後半では20の厳選事例がついている名著だと思います。いずれにせよ、広大地の評価は、不動産鑑定士に事前に相談されることです。不動産鑑定士でも、広大地に詳しくない方もいらっしゃいますので、詳しい方に依頼されることです。