法人の特定建設業者の更新手続に関する話です。

 資本金が2,000万円以上、自己資本が4,000万円以上、流動比率が75%以上などの財産的要件を疎明する資料として、直前決算時の確定申告書一式を府庁で提示します。もちろん、確定申告書に添付されている財務諸表の貸借対照表が判断基準になります。

 許可の更新時に、決算が確定し税務署への申告も終わり、なおかつ建設業の決算変更届も提出済の場合は、当然に両方の財務諸表が疎明資料となって、通常どおりの更新手続となります。

 上記のようなケースではなく、例えば、令和4年6月決算で更新期日が令和4年8月20日とします。6月決算ですから、8月末か9月末までには税務署への確定申告も完了します。この場合、8月20日までに確定申告を済ませ、その確定申告書一式をもって、財産的要件の疎明資料とすることも可能です。

 つまり、令和4年6月決算の確定申告書一式をもって、財産的要件の疎明資料とし、更新手続をします。この場合、令和4年6月決算の「決算変更届」は、まだ府庁に提出していません。建設業の決算変更届は決算月から4ヶ月以内にすればよいことになっていますから、更新期日がせまっている更新手続を先に済ませ、後から令和4年6月の決算変更届を提出することができます。

 なぜ、こういうケースが起きるのか。通常のケースのように、今期の決算が確定していなければ、もう一期前、つまり令和3年6月決算の確定申告書一式で、更新手続を済ませるはずです。そのとおりですが、もし、令和3年6月決算が自己資本4,000万円に満たない等の決算としたら、特定の財産要件が欠け、一般建設業の許可換になってしまいます。

 そこで、更新期日までに令和4年6月決算が確定し、特定要件がクリアするならば、令和4年6月決算の確定申告書一式をもって、更新手続を完了させることができます。もちろん、決算変更届は4ヶ月以内にすればよいというわけです。更新時に求められる過去5ヶ年分の決算変更届は、一年遅れの過去5ヶ年分でよいわけです。

 これは大阪府の取扱いであり、現在に至る令和4年8月現在も変更はありません。ただし、地方整備局(大臣許可の場合)では、決算変更届で審査しています。

 

(結論)

1.更新時には過去5ヶ年分の決算変更届が提出されていること。

2.大阪府では特定建設業の財産的要件は、新規、更新、許可換、業種追加のすべてにおいて、直近の確定申告書で判断します。決算変更届では判断しません。

3.更新時期が、決算変更届の提出期限である決算月から4ヶ月以内に直近の確定申告が完了していれば、その確定申告書で判断するのが妥当で、前年の確定申告書で財産的要件を判断するのは妥当ではありません。