運用方針〔4〕2-4イに「水の浸透を防止する構造」について規定し、その内容は、屋根の構造と外壁の構造について定めています。つまり、屋根と外壁の構造やこれらに使用されている材料を具体的に指定することで、水の浸透を防止することができると、みなし規定を定めています。

イ 水の浸透を防止する構造

⑴ 屋根の構造

屋根は、倉庫内への屋根からの水の浸透を防止するため、以下の構造のうちのいずれかであることを要する。

a 波型鉄板葺、瓦棒葺、折板構造、ルーフデッキ構造(瓦棒型ルーフデッキを含む。)等の金属板葺のもの

b 鉄筋コンクリート、プレキャストコンクリート板、軽量気泡コンクリート板等で造られているもので、表面に防水塗装が塗布されている等有効な防水措置が講じられていると認められるもの

c a又はbに掲げるもののほか、スレート葺の屋根で裏地に下地材を張ったもの等これらと同等以上に倉庫内への水の浸透の防止上有効な構造であると認められるもの

⑵ 外壁の構造

外壁は、倉庫内への外壁からの水の浸透を防止するため、以下の構造のうちのいずれかであることを要する。

a 波形鉄板その他の金属板張のもの

b モルタル塗のもので、下地にラスシートその他の鉄板を全面的に使用したもの又は鉄鋼モルタル塗のもので、裏面に下地板及びアスファルトフェルト、アスファルトルーフィングその他の防水紙を張ったもの

c 鉄筋コンクリート造のもので表面への防水塗装の塗布等有効な防水措置が施されているもの又は金属系複合板張、プレキャストコンクリート板張又は軽量気泡コンクリート板張(防水塗装の塗布等表面に有効な防止措置を施してあるものに限る。)のもので、各接合部分に目地コーキング処理等の有効な防水措置が講じられていると認められるもの

d a~cに掲げるもののほか、スレート張の外壁で裏地に下地板を張ったもの等これらと同等以上に倉庫内への水の浸透の防止上有効な構造であると認められるもの

⑴ 屋根の構造について

屋根に関しては、金属板葺、陸屋根の場合、スレート葺、そのほか屋根の有効な防水措置について規定しています。

① 金属板葺について

波型の金属板葺を使っている、金属板を瓦棒葺している、金属板葺を折板構造で施工している、金属板葺をルーフデッキ構造で施工している場合です。一般的によく知られているトタン屋根がこの部類に入ります。

② 陸屋根について

陸屋根の場合は、防水措置を取っている必要があります。矩計図または断面図に記載されています。また別途、メーカーや施工業者の資料があれば添付します。

また、住宅瑕疵担保責任保険の設計施行基準で、次のようなものが有効な防水措置とされています。参考に載せましたが、関係役所との事前相談が必要です。

(バルコニー及び陸屋根の防水)

第8条

2 防水材は、下地の変形及び目違いに対し安定したもので、かつ、破断又は穴あきが生じにくいものとし、以下の防水工法のいずれかに適合するものとする。なお、歩行を前提とする場合は、強度や耐久性を確保するものとする。

⑴ 金属板(鋼版)ふき

⑵ 塩化ビニール樹脂系シート防水工法

⑶ アスファルト防水工法

⑷ 改質アスファルト防水工法

⑸ FRP系塗膜防水工法。ただし、ガラスマット補強材を2層(ツープライ)以上と  すること。なお、防水材製造者の施工基準において、施工面積が小さく、ガラスマッ  ト補強材に十分な強度が認められる場合など、当該基準が雨水の浸入を防止するため  に適切であると認められる場合は1層以上とすることができる。

⑹ FRP系塗膜防水と改質アスファルト防水又はウレタン塗膜防水を組み合わせた  工法

③ スレート葺について

スレート葺に関しては、スレート葺の屋根で裏地に下地材を張ったもの等これらと同等以上に倉庫内への水の浸透の防止上有効な構造であると規定しています。

④ そのほか屋根の有効な防水措置について

陸屋根と同じく住宅瑕疵担保責任保険の設計施行基準において、屋根の防水として適していると規定されています。参考に載せましたが、関係役所との事前相談が必要です。

(屋根の防水)

第7条

2 屋根には、下ぶきを施すこととし、下ぶき材の品質及びふき方は次の各号に適合するものとする。

⑴ 下ぶき材は、JIS A 6005(アスファルトルーフィングフェルト)に適合するアスファルトルーフィング940又はこれと同等以上の防水性能を有するものとする。

⑵ 上下(流れ方向)は100㎜以上、左右は200㎜以上重ね合わせることとする。

⑶ 谷部及び棟部は、谷底及び棟頂部より両方向へそれぞれ250mm以上重ね合わせることとする。ただし、ふき材製造者の施工基準においてふき材の端部に止水措置を施すなど、当該基準雨水の浸入を防止するために適切であると認められる場合は当該基準によることができる。

⑷ 屋根面と壁面立上げ部の巻き返し長さは、250mm以上かつ雨押さえ上端より50㎜以上とする。

3 天窓の周囲は、各製造所が指定する施工方法に基づいて防水措置を施すこととする。

 

⑵ 外壁の構造について

外壁に関しては、金属系サイディング、ラスモルタル、鉄筋コンクリートの防水塗装、その他の外壁の有効な防水措置について規定しています。

① 金属系サイディングについて

まず「波形鉄板その他の金属板張のもの」と規定しています。いわゆる、金属系サイディングと呼ばれるものです。次のようなのものがあります。

・塗装ガルバリウム鋼板

・塗装溶融亜鉛めっき鋼板

・アルミニウム合金塗装板

・塗装ステンレス鋼板

② ラスモルタルについて

モルタル塗は、ラスシートという鉄線を編み込んだシートにモルタルを塗ることで壁にする工法です。ラスモルタル自体はひび割れや台風時などの風が強い時に水が浸透しやすく防水性能は良くないため、裏面に下地板や防水シートを貼ります。通常は、矩計図または断面図に記載されています。

③ 鉄筋コンクリート造について

鉄筋コンクリート造では、表面はコンクリートがむき出しです。そのままでは雨に長期間さらされ強度が下がり、コンクリート内部の鉄筋にまで水が侵入し錆びてしまいます。そのために表面に塗装やその他の防水措置をする必要があります。

住宅瑕疵担保責任保険の設計施行基準で、次のようなものが防水塗装としてあげられています。参考に載せましたが、関係役所との事前相談が必要です。

(外壁の防水)

第9条

3 ALCパネルその他これらに類する材料を用いた外壁の表面には、次の各号のいずれかに該当する雨水の浸透を防止する仕上材等の防水措置を施すこととする。

⑴ JIS A 6909(建築用仕上塗材)の薄付け仕上塗材に適合する防水形外装薄塗材E

⑵ JIS A 6909(建築用仕上塗材)の厚付け仕上塗材に適合する外装厚塗材E

⑶ JIS A 6909(建築用仕上塗材)の複層仕上塗材に適合する複層塗材CE、可とう形複合塗材CE、防水形複合塗材CE、複層塗材Si、複層塗材E又は防水形複層塗材E

⑷ JIS A 6021(建築用塗膜防水材)の外壁用塗膜防水材に適合するアクリルゴム系

⑸ 前各号に掲げるものと同等以上の雨水の浸透防止に有効であるもの

④ その他の外壁の有効な防水措置について

上記の①②③に掲げるもののほか、スレート張の外壁で裏地に下地板を張ったもの等これらと同等以上に倉庫内への水の浸透の防止上有効な構造であると認められるものと規定されています。

住宅瑕疵担保責任保険の設計施行基準で、次のようなものが外壁の防水として適していると規定されています。参考に載せましたが、関係役所との事前相談が必要です。

(外壁の防水)

第9条

2 防水紙の品質及び張り方は、次の各号によるものとする。

⑴ 通気構法(外壁内に通気層を設け、壁体内通気を可能とする構造)とした外壁に用いる防水紙は、JIS A 6111(透湿防水シート)に適合する透湿防水シート又はこれと同等以上の透湿性能及び防水性能を有するものとする。

⑵ 前号以外の外壁に用いる防水紙は、JIS A 6005(アスファルトルーフィングフェルト)に適合するアスファルトフェルト 430 又はこれと同等以上の防水性能を有するもの(透湿防水シートを除く)とする。

⑶ 防水紙の重ね合わせは、縦、横とも 90 ㎜以上とすること。ただし、横の重ね合わせは、窯業系サイディング仕上げは 150 ㎜以上、金属系サイディング仕上げにあっては 180 ㎜以上とする。