既存不適格建築物とは、建築当時は、都市計画法や建築基準法等をクリアした適法な建築物のことをいいます。つまり、建築基準法の改正や都市計画法による地域、地区などの変更などにより、すでに存在する建築物やすでに着工している建築物が、新規定に適合しなくなったものをいいます。

いわゆる既得権を持つ建築物のことで、違反建築物とは異なり区別されています。なお、建築物が新しい規定に不適合になった時期の始まりのことを基準時といいます。

法律には、その改正や変更により新規定などに適合しなくなった場合、その新規定については、過去にさかのぼって適用することができないという「法律不遡及の原則」があります。したがって、既存不適格建築物についても、新規定の適用は除外されるため、そのままの状態を存続している限り、新規定に適合するように建築物を修正する必要はありません。この場合は、既存不適格建築物の主用途が倉庫であることが前提になりますが、登録申請を進めることができますが、あとは、壁や床等の施設基準をクリアする必要があります。

もっとも、当初の主用途が倉庫ではなく、異なる用途の場合は、用途変更が可能かどうかの判断が必要になります。つまり、用途変更の段階で新規定が適用され、営業倉庫に用途変更ができない場合もあり得ます。この場合は、一級建築士なりに相談され事前調査が必要になるケースです。