解体業専門で、大きな信用を築いてこられたお客さんが、土木と建築の許可をとって、両方の経営事項審査を受けて、役所の仕事をしたい。
ざっとこんな相談ですが、その社長さんとは15年ぐらいのお付き合いをさせていただいております。社長のお人柄も知っていますから、私はピーンと閃きました。それは社長の考えですか? じっくりお話を聴かせてください。
思ったとおり、誰かの紹介で、役所営業をやっている方からの横車でした。その方を云々するつもりはありませんが、一般論として、この業界には、いまだにそういう方がいます。時代遅れもいいところ。
何箇所かの会社と提携して、役所から仕事を引っ張ってくる。だから、許可の追加と経審を受けるようにアドバイスをする。相手の社長のことなど、何も考えていません。ご本人のごずかい稼ぎのみ。
年に何回か同じような相談を受けます。もちろん、ちゃんとした社長の考えや戦略があり、会社の方針がしっかりしていれば、いくらでも応援させていただきますが。
30年も解体専門でやってこられた会社が、すぐに建築や土木の仕事ができますか。早晩、解体で儲けた利益が吹っ飛んでしまいます。いとも簡単に儲かるような口ぶりで話す紹介者。お人よしな社長は、ついほだされ、話にのる。
そうそう簡単に儲かるものではありません。みんな必死になって、専門分野の仕事を命がけでやっておられるのに。私の一声で、その話は没になった。
会社の経営者にふさわしい形で、アドバイスをしてあげるのが、われわれ行政書士の最大の仕事です。ただ許可をとればよい。経審を受けて、役所に参加すればよいというものではありません。
私はどんな相談でも、その会社の将来を考えながら、社長のお人柄も考慮に入れながら、処方箋を出します。役所仕事がその会社にふさわしくなければ、断り、その会社にふさわしい提案をさせていただきます。無駄な投資になるからです。
その会社にあったアドバイスをしながら、地元でトップ3を目指す。時間もかかりますが、建設業者さんも得意分野で勝負する。