企業の経営には、不安定要素や不確定要素が多すぎる。だから、経営計画をたてても、なかなかその通りにはいかない。そのために、経営計画をあきらめている経営者が多い。それが成行き経営となり、社長は自らの姿勢を示さずに、社員の行動に目を向けてしまう。そこから、社員の社長への不信や、会社の将来への不安を呼び起こしている。
不安要因が多すぎるのは、経営計画が無意味なのではなくて、不安定要因が多すぎるからこそ、なおさら経営計画の重要性が増すのである。
どのような計画をたてたとて、その通りいくはずがない。しかし、計画と実績との違いは、物事の是非、善悪を判断し、本質を見抜く経営者にとっては、貴重な情報である。それは、客観情勢の自社に及ばす影響を、財務的な物差しで計ることができるからである。
計画と実績との差から事態を読み取って、打つ手を発見できない経営者は、これからの難しい事態に対処して生き残る資格がないと言えよう。また、いかに優れた経営者といえども、無目標経営では、自らの持っている力量を、本当に発揮することはできないであろう。
企業の経営というものは、過去の実績を成行きに任せて引き伸ばすことではなくて、自社の将来の姿を築くために、今日、ただ今、何をしたらいいかを決定し、行動を起こさなければならないものだからである。
(一倉定の社長の条件より)