お金を儲けることは非常に大事なことであり、普通のサラーリマンには、それさえもできないのですが。しかし、儲けることよりも、さらに難しいのは、「お金を使うこと」なのです。
 お金をためることは、それほど難しくありませんが、「お金の使い方」は非常に難しいのです。一定のアイデアによって、ある程度の成功をすると、あとは事業そのものが自動的に回転していくので、お金はたまってきます。これは、才能がある人であれば可能です。しかし、お金を使うことは難しいのです。
 「お金をためる才能」と「お金を使う才能」とは、なかなか一致しないことが多いものです。少なくとも、「お金をためる才能」がなければ、社長にはなれませんが、「お金を使う才能」をも兼ね備えている経営者は少ないのです。
 それゆえ、他人を雇い入れているわけです。外から経理や財務の専門家を入れてお金の番をさせないと、社長が何をするか分からないからです。会社を護るために、お金の専門家を副社長や専務、財務部長などに迎えて、お金の番をさせ、その人の判子がなければお金を使えないようにしておくのです。
 会社が50人から100人ぐらいの規模になった段階で、そういう、お金の責任者が必要になります。そういう人がいないと、社長が思いつきでお金を使ってしまうなど、おかしなことをしたりするので危険なのです。
 「お金を儲ける力」と「お金を使う力」は別のものであり、使うほうが何倍も難しいのです。