1.変動費と固定費

変動費とは、売上(完成工事高)が増減すれば、それに伴い増減する経費が変動費です。例えば、材料費や外注費、現場経費などが変動費です。

固定費とは、売上の増減に関わらず、いつも固定的に必要になる経費です。例えば、事務所の家賃や置場の家賃、従業員の人件費も固定費です。減価償却費も固定費です。売上が減っても増えても、一定額必要になる経費が固定費です。

 

2.限界利益

限界利益とは、売上高から変動費を差し引いたものです。売上高-変動費=限界利益になります。限界利益をきちんと把握すること。限界利益をアップすること。限界利益が大きいほど利益は出ます。売上高よりも限界利益です。売上が増えても、限界利益が低いと、逆に運転資金が増加し、資金繰りが悪くなり、借入金ばかり増えていくことになります。限界利益率のアップに尽きます。

固定費の削減も見逃すことができませんが、まずは限界利益、限界利益率に素直に目を傾け、会社の体質を変えます。限界利益は会社の体質そのものです。会社の体質は社長の体質であり、限界利益に反映します。

 

3.限界利益率

限界利益率とは、売上高に対する限界利益の比率です。限界利益÷売上高=限界利益率になります。

例えば、A工事とB工事を比較して限界利益率が異なります。これで分かるものがあります。

項   目 A工事 B工事
完成工事高 2,000 4,000
変動費 1,200 3,200
限界利益(完成工事高-変動費) 800 800
限界利益率(限界利益÷完成工事高) 40% 20%

B工事はA工事の2倍ですが、変動費が大きいので、限界利益率は低くなっています。B工事は材料費のロスや外注費が高くついたのか、変動費が高く、固定費は回収できそうですが、利益が出にくい工事です。A工事は変動費が少ないので、利益を出しやすい工事だと言えます。

いつも「限界利益」「限界利益率」を素直に捉えてください。限界利益率が低い原因を追及してください。徹底的に原因を調べ、次なる改善策を打ち立て、限界利益率の高い会社を目指す。限界利益が高い会社がお金を残します。売上高ではありません。お金を残す会社は、数字に基づいた、厳しい社長の経営体質から始まります。数字に甘い社長、数字を見ようともしない社長は、お金を残すことが出来ない体質の社長です。

資金を残す徹底した利益率アップの体質に変えてください。

 

4.営業利益

営業利益は、限界利益から固定費などの諸経費を差し引いた利益です。利益を高くするために限界利益を高くする必要がありますが、固定費も重要な要素を占め、現実の営業利益を高めるには、固定費を抑えることも、お金を残せる経営に繋がります。

 

5.結論

社長は、この限界利益と限界利益率を知っていただき、工事現場ごとの限界利益や限界利益率、変動費、固定費を常に意識できるようになってください。簡易にできるシステムを導入し、計数で判断し、間違いのない次なる手を打っていただきたい。よく数字から逃げる社長がいますが、数字を軽視する経営は社長の体質そのものですから、まず数字に目を向け、その数字に基づいて、お金が残る経営に変身なさってください。

売上高より「利益率アップ」を目指す会社が、お金を残します。資金が確実に増えていきます。売上高が増えても、逆に資金が残らず、資金繰りが忙しくなり、破綻する会社もあります。

くれぐれも、利益率アップです。