一般許可から特定許可にする方法論を具体的な数字を用いて、分かりやすく説明しています。順次、特定許可の要件からスタートし、具体的方法論をまとめています。

1.特定許可の財産要件

財産要件には、2つあります。2つともクリアする必要があります。

その一つは、「純資産の部」が4,000万円以上あること。許可申請を提出する直前決算で判断します。その内訳は、資本金が2,000万円以上で、資本剰余金と利益剰余金が2,000万円以上あれば、要件をクリアします。下の表1をご覧ください。

表1.特定許可の財産要件(直前決算で判断)

科 目 説    明 金 額
資本金 履歴事項証明書に載っている資本金のことであり、貸借対照表の右側下にある「純資産の部」の資本金のこと。株主が出したお金。 2,000万円以上
資本準備金 資本金と同じようなもので、株主が出したお金。会社が稼いだ「利益剰余金」とは違う。 2,000万円以上
利益剰余金 設立から直前決算までの利益金の累計額。

会社が稼いだお金のこと(税金を引いた後)

  「純資産の部」の合計 4,000万円以上

 

二つ目の財産要件は、「流動比率」が75%以上あること。流動比率とは、流動資産を流動負債で割った数字をパーセントで表した値です。

流動資産は、預金や工事未収金などの合計額です。すぐに使えるお金のことです。流動負債は、短期借入金や工事未払金などの合計額です。すぐに支払するお金のことです。これも、下の表2をご覧ください。

表2.流動比率(75%以上)※直前決算で判断する

科目 説    明 金額
流動資産 預金、完成工事未収金などの合計額

貸借対照表の「流動資産の合計」

5,000万円
流動負債 短期借入金、工事未払金などの合計

貸借対照表の「流動負債の合計」

6,000万円
流動比率 流動資産5,000万円÷流動負債6,000万円

×100=75%以上

83.3%

表2のとおり、直前決算の流動資産が5,000万円で、流動負債が6,000万円とします。流動比率は83.3%となり、要件をクリアします。

つまり、流動資産(使えるお金)が多いほど、流動比率がよくなり、流動資産が流動負債の2倍あれば、流動比率は200%になり、資金的余裕のある会社となります。

 

2.特定許可にする方法

仮に、平成28年3月決算の「純資産の部」が、下の表3にあげた数字とします。ここから、特定許可を得るためには、どれだけの増資をすれば良いのかを示しています。

また、1年間の概算利益を500万円で想定しています。

表3.特定許可に向けた増資額予想

科 目 H28年3月 増資 利益予想 H29年3月
資本金 500万円 1,500万円   2,000万円
資本準備金 0万円 700万円   1,000万円
利益剰余金 1,200万円   500万円 1,700万円
法人税等(35%)     -175万円 -175万円
合 計 1,700万円 2,200万円 325万円 4,225万円

現在の純資産額が1,700万円であり、増資額を2,200万円(内、資本金を1,500万円と資本準備金を700万円)としています。その結果、純資産額が4,225万円になり、要件をクリアします。

増資額を資本金と資本準備金に分ける理由は、登記の登録免許税を少なくすることと、法人税法や地方税法の関係で、資本金が大きくなれば余分な税金がかかってくるからです。払込資本金(増資額)2,200万円の半分以下は、資本準備金として積み立てが出来ることになっています。また、そうすることが会社法で決まっています。

最低必要な資金は1,500万円です。資本金を2,000万円にしなければならないからです。あとは、1年間の税引当期利益で増資額が動きますが、いずれにしても、最低1,500万円から2,200万円の資金手当が必要になります。

 

3.増資資金の捻出方法

上の増資額2,200万円の捻出方法ですが、社長が会社に貸しているお金があれば、それを利用して増資することができます。また、毎月、増資預り金として、社長の役員報酬から会社に貯めていく方法があります。時間がかかりますが、確実な方法です。この方法は、適正な役員報酬を出して、無駄な法人税等を払わず、特定許可を取得する方法です。社長の貸付金を増資にする方法は、別の記事をご覧になってください。

 

4.1級の資格者が、最低2人は必要

特定許可を取得するだけなら、許可要件である専任技術者一人で要件は足ります。しかし、特定許可にする目的は、公共工事で多額な工事を落札することですから、最低もう一人は、現場の監理技術者が必要になってきます。事務所で常駐の「専任技術者」は、監理技術者になることができないからです。

1級資格者は、多いほうが良いです。複数の公共工事を落札すれば、二人でも三人でも、ほしいところです。