1.概要

利益剰余金とは、会社が智慧と汗の結晶で稼いだ利益から税金や配当などを支払った後の内部留保金です。創業から現在まで蓄積してきた合計額です。当然に多いほど良いことになります。今の経審で、絶対的力量指標として掲げれている2つのうち2つ目の指標です。

算式は、利益剰余金/1億円=利益剰余金の指標です。

上限値は100億円(最も良い)、下限値は-3億円です。

分析での寄与度は、全体の4.4%です。

分母が1億円ですので、1億円が基準になります。最高が100億円です。100億円の余剰金を創る会社になろう! 創業からの内部留保金が100億円あれば、利益剰余金は満点になります。

 

2.アップ対策

やっぱり、ダム経営の実践ですね。お金のダム、人材のダム、人格のダムです。

利益剰余金は、長期的な蓄積でしか増加しません。資本金は、すぐにでも増資して、純資産の部(自己資本)を増やすことが出来ますが、利益剰余金は簡単にいきません。

経営者のマインドを変えることに尽きます。経営者のマインドを変えない限り、良くなることはありません。

利益を上げ、余剰金を増やしていくことは、誰でも知っています。みんな儲けることは分かっています。本当の意味で、余剰金を残そうと思っていないかもしれません。また、なぜ実行できないのか。低い納税意識を根本から変えようとしないからです。

利益剰余金を積み上げるには、経営者のマインドを変え、達成させる情熱と中長期的な努力で可能になります。その一番最初の経営者のマインドを変えない限り、次に進むことができません。その最大のネックが、納税意識です。この納税意識を変えない限り、経審アップや分析アップなど、小手先の方法論にしか過ぎません。

利益と納税についての考え方を知ってください。

納税額が増えることは、同時に内部留保が増えることでもあります。

日本には数多くの会社がありますが、そのうちの約7割が赤字会社であると言われています。もちろん、商売が下手で赤字になっていることがありますが、税金の支払いを逃れるために赤字をつくっている会社も非常に多くあります。

小さな会社の社長にとっては、税金対策、税務署対策も非常に重要な仕事の一つです。税務署との「ケンカ」は社長でなければできません。その意味において、これはとても難しい仕事だと思います。

しかし、これについても、社長は新たな能力を磨いていかなくてはなりません。小さな会社では、一人か二人の経理担当者を雇い、彼らが作成した資料をもとに、社長は会社の運営について判断していると思いますが、社長自身も本などで勉強し、経理の知識を身につけることが必要です。

「税金が払える」というのは、「少なくとも税金に倍するぐらいの利益がある」ということを意味しています。そもそも利益がなければ税金は払えません。

税金を払わなくても済むようにするため、赤字にも黒字にもならないスレスレのところを狙って経営する人も多くいますが、それは結局において、無駄な経費を使ったり、無駄な投資をしたりしているにすぎないことがよくあります。節税に夢中になっていると、放漫経営に陥るおそれがあることを知ってください。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」と言われますが、毎年毎年、会社として利益をあげていくことを優先させるべきです。利益以上の税金はありえません。税金は利益の半分程度なのですから(現在は3、4割程度)、むしろ、「自分の会社も税金を納められる身分になりたい」と考えるべきです。

また、毎年毎年、納税額が増えていくことは、同時に、利益が増えていくことも意味しています。違法なことでもしないかぎり、納税をせずに利益を蓄積できた会社はないのです。納税額が増えていくことは、同時に、内部留保が増えていくことでもあります。この点を無視してはいけません。

日本という国において経済活動の場を提供され、日本人を相手に商売をしている以上、それによって得た利益の一部は国家に還元すべきです。また、お金は天下の回りものであり、自分の会社が納めた税金は、やがては商売相手のほうへも流れていきます。お金の循環、法則を知ってください。自社が納税せずに、天下の回りものにはなりません。

その意味では、「事業によって得た利益の半分程度は公金である」と考えたほうがよいのです。

もちろん、節税がいけないと言っているわけではありません。合理的な節税をすることは大事です。ただ、「節税のみに社長のエネルギーを注いでしまっては、会社の発展はありえない」ということです。

 

3.予算管理制度の導入

会計には、財務会計と管理会計があります。財務会計は、実績を正しく評価をして株主などに報告するための後追い会計です。過去会計とも言われます。管理会計とは、未来を予測して、会社の未来のために行う会計なので、未来会計とも呼ばれます。ある意味、会社にとっては、財務会計より管理会計の方が大事だと思います。この管理会計に必要なのが、予算管理制度です。

予算管理制度は、経営組織における各部門や各担当者に対し、明確な数値が示されるので、部門や担当者の努力目標が明らかになります。その結果、組織全体が活性化し、高い経営成果が得られ、確実に利益が上がる組織になります。

予算管理制度は、建設業者には必須制度ですが、まだ導入されていない会社は、予算管理制度を導入されることを勧めます。

予算管理制度を導入され、未来会計である管理会計にシフトされることを望みますが、

零細企業には、なかなか管理会計まで手が届きません。しかし、予算管理制度も未来会計も、本当は、社長の人格一つで決まります。

人格優れた経営者は、智慧を絞り、利益をあげ、多額の納税をされています。智慧は時間を生かし、人を生かします。経営とは、智慧と汗の結晶です。本気で予算管理制度を、簡単な方法で出来るように、智慧を絞って構築すべきです。また、積算名人を育て、確保することも、建設業者には、非常に大事なことです。