経審における経営状況分析とは、建設業者の経営状態を決算書から分析します。決算書の数字が経営状況分析の評点に直結します。
経審の内容は大きく2つに分かれます。一つは経営規模等であり、売上高、技術力、社会性評価などです。もう一つは、この経営状況分析(Y点)です。
経営状況評点(Y点)をアップさせれば、他の同規模の建設業者よりもワンランク上の総合評定値(P点)を得ることが出来ます。なぜならば、建設業者の90%以上を占める中小建設業者で、経営規模の各評点には、さほど差がつきにくいからです。それに対して、経営状況の評点は1,000点程度の差が出て、P点換算で200点程度の差が出ることになります。経営分析状況の評点(Y点)をアップさせることにより、公共工事が受注しやすくなるという直接的なメリットがあります。
また、建設業者の現状は、建設需要の減少により完成工事高の大幅な上昇は見込めず、人件費の問題もあり、技術者の増員も困難で、技術力(Z点)も望めず、社会性等に関する評点も殆ど満点になっているという場合、経営状況評点(Y点)、つまり決算書の内容が、そのまま綜合評定値(P点)の差につながります。
このように、経営状況評点(Y点)をアップするような対策をすれば、P点に好ましい影響を与えます。
次に、経営状況分析の各指標について説明していきます。
経営状況分析は8つの指標で評価されます。括弧書きの%は「寄与度」を表しています。
⑴ 負債抵抗力指標
① 純支払利息比率(29.9%)
② 負債回転期間(11.4%)
⑵ 収益性・効率性指標
③ 総資本売上総利益率(21.4%)
④ 売上高経常利益率(5.7%)
⑶ 財務健全指標
⑤ 自己資本対固定資産比率(6.8%)
⑥ 自己資本比率(14.6%)
⑷ 絶対的力量指標
⑦ 営業キャッシュフロー(絶対額)(5.7%)
⑧ 利益剰余金(絶対額)(4.4%)
8つの指標を寄与度の高い順番に並べ変えます。すると、寄与度の高い指標が明確になり、対策が立てやすくなります。
第1位 純支払利息比率(29.9%)
第2位 総資本売上総利益率(21.4%)
第3位 自己資本比率(14.6%)
第4位 負債回転期間(11.4%)
第5位 自己資本対固定資産比率(6.8%)
第6位 売上高経常利益率(5.7%)
第7位 営業キャッシュフロー(絶対額)(5.7%)
第8位 利益剰余金(絶対額)(4.4%)
8つの指標の内、寄与度が高い指標に力をいれましょう。1番目に高いのは、純支払利息比率で29.9%もあります。約3割です。つまり、無借金経営の会社なら満点がとれます。いかに無借金経営が大事かを表しています。2番目に高いのは総資本売上総利益率です。21.4%あります。小さい資本で大きく稼ぐ会社は、満点に近づきます。つまり、粗利益率が高い建設工事を施工することに尽きます。3番目に高いのは、自己資本比率で14.6%あります。借入金がなく100%自己資金なら満点です。
純支払利息比率の29.9%、総資本売上総利益率の21.4%及び自己資本比率の14.6%で、全体の65.9%を占めますので、自ずから対策が見えてきます。
経営状況分析のアップ対策は、「アップ対策1」「アップ対策2」「アップ対策3」で、後からまとめて述べることにします。