理屈対策で、アップ対策が明確になりました。

 それは、①金利を減らすこと(借金を減らすこと)、②粗利益を増やし、確実に経常利益を上げること、③自己資本を増やすこと、④総資産をスリム化することの4つでした。この4つの対策を実践されることで、確実にY点はアップし、経審全体のP点も自動的にアップします。

 それでは具体策に入りますが、具体策は、各会社により、建設業の工事種類などにより違ってくると思います。第1章「自社の得意技で勝負する」、第3章「経営の勘どころ」、第5章「繁栄が繁栄を呼ぶ」の記事は、社長さんらの実体験を綴っていますので参考になると考えます。特に第1章「自社の得意技で勝負する」の箇所を中心に述べていきます。

 本来、建設現場のことは、社長さんらが一番よく理解されていますので、おこがましく浅薄な私が述べることではありませんが、応援歌だと思っていただければ幸いです。

 

⑴ 金利を減らすこと(借金を減らすこと)

 お金がなければ、経営を続けることができません。いつも資金繰りで忙しい会社は、社長の心に余裕がなく、良い仕事をお客さんに提供できません。その結果、仕事がなくなっていき、会社を閉めることになります。または、本業以外で儲けようとして、さらに墓穴を掘るケースが多いようです。

 本業を大事にしながら、日々の実践行為を通して、無借金経営を実践し続けましょう。それは、工夫して工夫して考えることです。「智慧の経営」を貫くことです。毎日イノベーションすることです。イノベーションとは「これまでとは異なった新しい発展。刷新。技術革新」のことですが、大きなことではありません。小さなことから始まり、身近なことがイノベーションです。智慧を活かすことが、イノベーションを押し進めます。

 本気になって無借金経営、ダム経営の実践を貫き通します。先ほども述べましたが、ダム経営は、無借金で今すぐ使えるお金が1億円になって、ダム経営と言えそうです。なぜならば、第8位の「利益剰余金」の分母が1億円で、最低1億円が目安のようです。

 第3章「経営の勘どころ」の「ダム経営を信じ実践された、たった一人の経営者」「潜在意識と慈悲喜捨(じひきしゃ)」「想いは実現します(想念の具体化」「潜在意識が善回転する得意技」の記事を参考にしていただき、潜在意識と仲良くなり、潜在意識を徹底活用されて、無借金経営、ダム経営の実践を貫いてください。

 具体的には、①増資が可能なら資本金を増やし、その資金を借入金の返済に充て、金利を減らします。社長からの借入金があれば、増資手続をされて資本金を増やしてください。

 ②投資有価証券や土地など経営活動に利用されていない遊休資産を売却した資金で、借金の支払に充てることで、金利を減らすことができます。経営に寄与しない遊休資産を減らし、身軽になりスリム化を目指します。経営に寄与しない無駄な資産を無くし、シンプルな財務内容にしましょう。経営に寄与しない人材もシンプルにすることが大事です。これもダム経営の一つです。

 ③定期預金や積立預金といった固定預金を解約して、借金の支払に充てることで、金利を減らします。銀行関係の問題もありますが、上手に折衝なさってください。

 ④公的資金を活用して借り換えを行うことによって、低利の資金導入を図ることにより、金利の総額を減らします。多くの公的資金を検討しましょう。公的資金は、銀行のように預金をする必要がありませんので、あらゆる公的資金を検討なさってください。

 

⑵ 粗利益を増やし、確実に経常利益を上げること

 売上高より粗利益を重視してください。

「C社長の魅力(無欲の大欲)」で述べたように、工事現場を効率よく進めていくためには、次のようなことが基本となるでしょう。

 お客さんに喜んでいただいて顧客満足を高めること。適性利益を出すこと。協力会社にも利益を提供できること。可能な限り短い工期で施工すること。無事故、無災害で施工すること。近隣の人たちと調和していること。自然環境を保全すること。働きやすい現場で従業員の満足度が高いこと。どれ一つとして、おろそかにできません。

 現在の経営状況分析(Y点)は、無借金経営の次に、各現場の工事内容を検討していただき、粗利益を高めることに尽きます。粗利益率の高い工事現場を多くするには、他社にないような工法を生み出すか、工期を短縮できるか、自社独自のものを創りあげてください。

 粗利益を増やすには、付加価値の高い工事にシフトしていくこと。あと、原価管理と人材育成の徹底化を図り、各現場の粗利益率を高めることです。

 まず「付加価値の高い工事にシフトしていくこと」は、第1章「プラント工事の機械屋さんんに徹する」「得意技を活かし仕事目標を固める!」の記事を参考にしていただき、自社独自の工法を創りあげてください。難しいことですが、信念を持って実践なさってください。

 次に「原価管理と人材育成の徹底化を図り、各現場の粗利益率を高めること」ですが、第1章「完成度の高い工場専門の建築業者」「役所の予算を追加されるほどの積算名人」「セローズファイバー(断熱・防音・結露)」「無垢の木と自然素材にこだわる住宅専門業者」などの記事を参考にしてください。工事原価の見直しを徹底し、粗利益を高めてください。

 具体的には、徹底した原価管理をされて、各工事の利益率を上げることに尽きますが、明らかに赤字になるような工事は受注しないことです。また、工期の短縮を図り人件費や外注費を減らす工夫をされることも一つの方法でしょう。現場で使用する材料等も出来る限り手持ち在庫で賄うようにしましょう。「得意技を活かし仕事目標を固める!」の記事が参考になると思います。

 さらに「人材育成」ですが、この第4章「1級の資格を取らないものはリストラ!」のように全員が1級の資格を目指してください。現場に配置される人員に無駄が出ないように、普段から施工能力を高め、少数精鋭主義に徹することでしょう。

 最後に、建設業の工事種類によっても戦略が違ってきます。土木工事と建築工事は、元請工事に徹してください。施主さんからの直接に請け負う工事です。土木工事に関しては、公共工事が大半ですので、「役所の予算を追加されるほどの積算名人」の記事を参考に、可能な限り利益率を高めてください。

 建築工事に関しては、「きたない、おそい、いいかげんの小さな工務店」「完成度の高い工場専門の建築業者」「C社長の魅力(無欲の大欲)」の記事を参考に、元請工事に徹してください。特に地元のお客さんをベイスに信頼を勝ち取ってください。

 また、専門工種である解体工事さん、造園屋さん、電気屋さんなどは、「得意技を活かし仕事目標を固める!」の記事を参考に、創意工夫され、工期の短縮や日本一きれいな掃除を徹底され、ナンバーワンの下請業者を目指してください。

 粗利益の考えとして全般に言えることですが、「御社だけで勝てる会社に(競争の外に出る)」の記事が参考になると思います。

 このように「どうしたら粗利益が増えるか」「どうしたら売上が増える」かの対策も重要ですが、「どうしたら喜んでもらえるか」を考え抜いてください。お客さんに喜んでもらえることを基本に個々の対策を創りあげてください。

 

⑶ 自己資本を増やすこと

 早急に自己資本の比率を上げるには、可能な限り増資をして資本金を多くします。代表者からの借入金がある場合、これを資本金に振り替える方法もあります。 

 自己資本は、資本金と会社が蓄積してきた剰余金で構成されています。中長期的には、毎期の決算において、利益を確実に上げていき税金を払い、無借金経営の実践を続けていくこと。最終的には、ダム経営の実践を続けていくことに尽きます。

 また、この第4章「経営規模(X2)の自己資本額と平均利益額(増資の勧め)」を参考に増資を進めてください。

 さらに、毎期の利益計上と納税意識がキーポイントになります。その重要性を「アップ対策3」で説明しています。納税意識に関しては、経営者のマインドを変えることに尽きます。経営者のマインドを変えない限り、真の対策にはなりません。

 

⑷ 総資産をスリム化すること

 総資産(総資本)を減らす方法です。経営活動に不要な有価証券や土地などを処分し、借入金の返済に充て、財務体質をスリム化することで、総資産の割合が少なくなります。役員、従業員への貸付金があれば、銀行の個人貸付金を斡旋するなどして、早急に回収します。仮払金のような仮勘定科目も、きちんと精算することです。

 また、出来る限り機械や車両は、現金で購入するようにします。お金がなければ購入できませんので、やはり、無借金経営やダム経営の重要さが見えてきます。

 いかに、無借金経営やダム経営が重要で、本気になって実践し貫き通すことです。経営状況分析(Y点)アップ対策は、無借金経営、ダム経営が最も効果を発揮します。

 ダム経営は、Y点対策だけではなく、会社経営の基本中の基本です。根幹をなす経営方法だと考えます。「御社の繁栄、あなた様の繁栄がいつまでも続きますように」願っております。