お金を貯めていくには、配偶者の問題も大切な要素であると思います。

「飲む打つ買う」の夫を持った妻は最悪であり、貯蓄どころではありません。また、派手好きな女性と結婚すれば、亭主がいくら稼いでも、お金は残りません。

 やはり、財産の大小にかかわらず、家庭というものは、夫婦の精神が同じでなければ決して栄えていくものではないと考えます。特にお金に関しては、同じような考え方を共有していないと、スムーズに運びません。

 旧安田財閥の創業者である安田善治郎氏の「富の活動」という書籍に、面白い話が書かれています。彼が19歳で富山から江戸に来て、丁稚奉公の末、日本橋の人形町通りに小さな店を開きました。商売も順調に繁盛し、ある人から結婚の話が持ち上がりました。

 彼は、これまで千両の金持ちになろうと決心し商売をしてきたので、妻をもらうには自分と同じ精神の女性でないと、自分の目的を達成することができないと考えていました。そこで、結婚を勧めてくれた人に三つの条件を出しました。

 第一は「お客様を大切にすること」でした。商売はお客様次第ですから、お客様が来てくれなければ繁盛しません。自分が留守中にお客様があったときに、粗末に取り扱うというようなことがあっては、福の神を逃してしまうことになり、そんな女性なら来てもらわない方が良いと考えました。

 第二は「これからは夫婦共稼ぎになるから、一生懸命に働いてくれる女性」でなけらば困るということでした。第三は「当分木綿服しか着ないこと」です。

 こういう三つの条件を持ち出して、妻に迎えたそうです。

 彼は妻を選ぶ時にも、商売や立身出世の妨げになるような選択をしなかったということです。やはり、大富豪になる人の考え方は違いますね。確かに、夫婦はそれぞれ異なった環境で育ち、考え方も違えば、性格も異なります。しかし、夫婦として向かうべき未来に対しては、同じような考え方を共有していないと、財を成すにも難しいところがあります。

 私と言えば、明るい性格と笑顔が好きで結婚しましたが、結果的には、良き妻をもらったと思っています。私事で恐縮ですが、41歳の厄年の時に、運送業許可の仕事で大失敗をして損害賠償金一千万円近く払いました。その時に、妻がポンと出してくれました。

 安田氏の話に戻りますが、彼は「勤勉」と「倹約」を守り、冗費(じょうひ)を節約し、贅沢を慎み、財を蓄えることは、人としてぜひ行うべきところであり、それを信じると言いきります。特に、収入の二割を貯蓄することを堅く守るという、自分の立てた主義は、他人が何と評価しようが、いかなる誘惑が起ころうが、一歩も曲げたことはありませんとも書いています。

 性格の異なる夫婦間で共有すべき考え方は、上記のような精神を貫くことではないでしょうか。また、一家でも同じような精神を養うことも大事だと思います。