貯金をしても利息は無に等しい時代が長く続いています。そこで、貯金よりも多少金利の良い国債や投資信託を利用して財産を増やそう人もいます。あるいは、株式投資や不動産投資をされる人もいます。また、元手資金がなくても前向きな良い借金をされて、安全な現物投資で、金利以上の利回りを計算された投資方法もあります。お金を増やす方法論は様々です。

 いずれにせよ、これらの元手になる資金がなければ、投資信託や不動産投資は出来ません。その元手を生み出すために、やはり、勤勉と倹約が大事とされる所以です。諺に「ちりも積もれば山となる」「谷川の水も終(つい)に大海となる」とあります。これは、勤勉と倹約の精神を貫き通し継続していけば、やがて貯蓄は大きく膨らんでいくという意味でしょう。また、元手がなくても良い借金で運用していく上でも、やはり、勤勉と倹約の精神を貫いていかなければ、長く継続していくことはできないしょう。

 いかに時代が変わろうが今も昔も、勤勉と倹約がお金を貯めるための根本精神と言えます。勤勉とは、創意工夫等の智慧も必要ですが、正直に一生懸命に働くという意味でしょう。倹約とは、無駄遣いや衝動買いを慎んで、収入の一定額を貯金することでしょう。自営者でもサラリーマンでも、全く同じことが言えます。

 例えば、一月分の収支結果、残るお金が千円でも二千円でも、決して失望することはありません。一年間でわすか一万二千円ですが、ここが踏ん張りどころです。金額は僅少でも、この精神がやがて大きな蓄財を成していきます。この克己心こそがお金を貯めていく最大の力を発揮します。金額の大小に関わらず、ここで鍛え上げた克己心は、世間の信用を生み、自分自身の安心感が膨らみます。勤勉と倹約の重要なポイントがここにあります。

 換言すれば、最初は無形に近い財産かも知れませんが、克己心を貫いていくことで、やがて世間の信用が膨らんでいき、成功者への道を歩んでいると思います。真の成功者は、この勤勉と倹約の克己心がなせる業だと思います。一攫千金を望む人に真の成功者は一人もいません。

 勤勉と倹約は、大富豪を目指すための両輪とも言えます。勤勉に関しては、「経営の勘どころ」や「社長の条件」の記事を参考になさってください。倹約については、「お金を使うのは儲けるより何倍も難しい」という記事にも書きましたが、「金銭は余分に儲けるよりも費やさないことを心はけよ」と、昔から言われていることです。安田善治郎氏も松下幸之助氏も同じ内容のことを戒めています。

 多くの収入を得ても多くの支出があれば、収支はいつまでたっても合いません。収入が多いことのみが幸福だと思いがちですが、これほど不幸なことはありません。やはり、倹約を実践していけば、少ない収入でも余裕ができ、それだけ儲けたのと同じ結果になります。収入の多いことのみが必ずしも幸福ではないということを知ってください。

 冒頭に述べましたように、国債や投資信託等に投資されている人の共通点は、普段から倹約に努め、その克己心を貫いた結果、余剰金を投資されています。けっして、最初からお金持ちであったわけではありません。やはり、勤勉と倹約がお金を貯めていく基本です。