「キャッシュフローという難しい言葉で言ってるけど、早い話、直ぐに使えるお金がナンボあるか。ということですやら、先生ぇ」

「そのとおりです。いつでもどこでも、今すぐ使えるお金のことです」

建築専業であるお得意さんの社長がおっしゃった言葉です。無借金経営を20年以上も続けてこられた会社です。社歴は30年。従業員は三人。えぇかっこを絶対しない。10年前は女性の事務員さんもいません。従業員が1人でした。

「何も横文字を使わなくても、しっかりとお金の勘定をして、大事に使っていれば、自然とお金は残ってきます。いっぺんには貯まりまへんけど。お金を大切にしています」

「あのバブルの時も下請をしませんでした。ゼネコンの仕事をいっぱい紹介してくれる先輩や友人がいましたが、全部ことわりました。なんでかというと、支払いが手形というから、きっぱり断りました」

手形の商売も一切やらない。相手の支払いが手形なら仕事を断る。下請仕事も一切しない。信念の社長です。なかなか信念を貫き通せるものではありません。一時的に真似が出来ても、20年以上続けられません。立派の一言です。

下請さんへの支払いは現金払い。支払が先行する建築業界ですが、何億、何拾億の立替でもOK。下請さんも、優先的に動いてくれるそうです。

相乗効果で、無駄もなくなり、仕事も早い。目に見えない時間的な問題やお金の節約になっているそうです。だから、次から次へ善回転して、無借金経営が、余計に潤沢な資金を廻せるようになります。借金体質の会社と、上・下で大きく違います。

やっぱり、シンプルで、無駄なことは一切しない。いつもニコニコ現金払いが、良い仕事をもたらしてくれる見本みたいな会社です。