1.会計の目的

会計とは、「いかに金を残すか」「いかに金を使うか」ということに尽きます。つまり、利益調整です。利益調整といえば、脱税対策ではありません。大切な金や時間を使って、経営者が「計画したとおりの利益」を出すことです。

会計の本には「企業の業績、財務状況を正確に把握するため」と書いてあります。正確に計算や集計するのは、パソコンがやってくれます。経営者の仕事ではありません。会計とは、大切な金と時間と人材を使って「計画したとおりの利益」を出すことです。

2.本当の利益

会計では、売上-経費=利益です。誰でも知っています。しかし、そんな簡単なものではありません。利益とは「智慧と汗の結晶」です。智慧は、時間を生かし、人を生かします。だから、みんながんばっているのです。

 

3.あらゆる領収書は、経費で落とせる

食事代、飲み代、コンビニ弁当、食料品、薄型テレビ、ブルーレイ・レコーダー、スポーツ観戦費用、キャバクラ代、愛人手当などを、経費で落とす方法があります。

但し条件があります。会社の業務で使うということです。詳しいことは省略しますが、会社の業務に関係しておれば、経費に落とせます。

会計は記録が大事です。記録は「支払日、支払金額、支払先、支払内容」がわかるものです。領収書には、支払日、支払金額、支払先は書いてありますが、支払内容がありません。実は、この支払内容が一番重要なのです。手間ですが、支払内容を領収書に書く癖をつけてください。例えば、領収書やレシートの余白に、得意先の誰を接待したのか。下請先の誰と飲んだのか。何を買ったのか。書く癖をつけてください。毎朝、歯を磨くように、習慣づけてください。

 

4.領収書がなくても経費に計上する方法

領収書とは「取引の記録」です。税法には「取引に使った帳票類は残さなければならない」となっていますが、「領収書を必ず残しなさい」とは書いていません。

大事なことは、出金伝票などに「支払日、支払金額、支払先、支払内容」を書いておけば、それが事実なら認めてくれます。4つの取引記録がなければ、信憑性が薄く、認めてもらうのが難しくなります。記録する習慣が、一番大事です。

 

5.接待交際費

交際費は、取引先だけに限ったことではありません。将来取引をしてくれるかもしれない相手、業務上の情報を教えてくれそうな相手、下請業者の人たちにも、交際費で落ちます。また税務上の交際費については、細かい規定を定めていますが、簡単にいえば、資本金1億円以下の法人は、年間800万円以下なら全額経費なります。これは、平成26年4月1日からスタートする事業年度から適用されます。(改正)

 

6.談合金

談合金は経費に計上できます。法人税の基本通達61の4に「建設業者等が工事の入札等に際して支出する、いわゆる談合金その他これらに類する費用は、交際費に計上しなければならない」となっています。つまり、交際費に計上しても良いのです。通達というものは法律ではありません。「税務当局の運用方法に関する考え方」のようなものです。だから、法律的な縛りはありません。

税務の現場では、この通達が基準にされています。この通達に従っていれば、税務署からお叱りを受けることはありません。つまり、税務署は、談合の存在を認め、談合金の経費処理の方法まで指示しているのです。

ただ、談合金を交際費で計上している企業は、まずありません。公共事業の談合は違法ですし、違法行為をしていることを、みすみす白状するようなものです。だから談合金は、巧妙にほかの経費に紛れ込ませたり、裏金から捻出する場合がほとんどです。

 

7.経営とは

経営とは、他人を通じて事業を運営し、成果をあげることです。他人の手を通さずに、全部一人でやれるならば、それは経営ではなく、個人仕事か職人仕事です。どんな職業でも、最初は一人仕事のような形から始まり、しだいに「自分一人ではできない」という限界を感じ、人を使って仕事をしようとします。これが、経営の本質です。

「経営は、人、物、金、情報等の経営資源を投入して行うものだ」と言われますが、経営者は、常に「成果をあげる」というマインドを持っています。金や人を投入するだけであれば、誰にでもできます。情報も同じです。情報を集めて、成果に結びつけなくてはなりません。他の人を使って、自分一人の仕事よりも大きな成果をあげることが、経営の基本ですし、繁栄発展を目指すことが経営です。

そこで、人の問題が浮かび上がり、経営者は一番悩んでいます。人を新しく入れても、すぐには戦力にはなりません。給料だけは確実に出ていきますが、仕事の成果はすぐには現れません。ここが、非常に苦しいところです。そのためにどうしても、人の部分をコストと考えてしまう傾向があります。人が減れば経費が減り、人が増えれば経費が増えます。目先の利益をあげようと考えたとき、人を減らすと、一見、利益が出るように見えます。その点だけを見れば、確かに、人というものはコストに見えます。

しかし、繁栄発展されている経営者は、長期的な視野に立ち、人を大切にされています。人をコストと見ていません。人をコストと見れば、全体の士気も上がらず、最終的には、優秀な経営管理者を育てるのに様々な問題点が生じてくるからです。ゆえに、人材を一つの資源であると考え、一番成長する可能性のある経営資源に力点をおき、従業員との人間関係も含め、やりがいのある職場を創るために努力されています。

人の値段で一番高いのは、経営担当者や経営管理者です。こういう人たちをつくっていくことができれば、その大切さを知らない人から見ると、びっくりするような成果が出てくるようになります。しかし、経営は理屈どおりにはいきません。なぜならば、人には感情あり、個性があり、多様なる価値観を持っているからです。この部分のマネジメントが求められ、多くの人材マネジメント(HRM)等の研修が盛んに行われています。

これらも重要ですが、最大の効果が期待できるのが、経営者や経営担当者自身の変革です。トップが変われば、会社は変わります。会社は、トップの人格以上に発展しません。トップの限界が、会社の限界です。

様々な不祥事が後を絶ちませんが、彼らの資質が問われています。『一倉定氏の社長を叱る』ではありませんが、経営者自身が人格的にも向上されることが、最高のマネジメントです。本物の経営者を目指せ!

人格優れた経営者は、智慧を絞り、利益をあげ、多額の納税をされています。智慧は時間を生かし、人を生かします。経営とは、智慧と汗の結晶です。