1.概 要

株主資本等変動計算書は、一会計期間における純資産の変動額のうち、主として、株主に帰属する部分である株主資本の各項目の変動事由を報告するために作成するものである。(企業会計基準委員会―企業会計基準6号より)

2.作成目的と理由

旧商法では、株主に対する配当を期末配当と中間配当に限定していました。

会社法では、剰余金の配当は、期末や中間決算時に限らず、期中のいつでも、何回でも、行うことができるようになりました。

また、資本の部の計数を変動することや役員賞与金は、決算手続きとは切り離して行うことができるようになったため、会社法では「利益処分案」や「損失処理案」は、制度上廃止になりました。

そこで、資本の部の計数を変動させる取引や損益取引に含まれない取引については、独立した計算書として「株主資本等変動計算書」を作成することになりました。

企業集団の場合は、「連結株主資本等計算書」、持分会社の場合は「社員資本等変動計算書」と呼びます。

この株主資本等変動計算書は、旧商法の利益処分案の代替として作成されるのですが、その内訳は、貸借対照表の「純資産の部」の資本金から新株予約権までのすべてを増減過程も含めて示すために、株式会社における純資産の情報がありのまま公開されることになります。

3.記載される取引

⑴ 資本の部(株主資本)の計数を変動する取引

① 剰余金の配当

② 資本金の減少による準備金または資本剰余金の増加

③ 自己株式の処分による剰余金の増減

④ 自己株式の消却に伴う剰余金の減少

⑤ 準備金の減少による資本金または剰余金の増加

⑥ 剰余金の減少による資本金または準備金の増加

⑦ 剰余金の減少による準備金の増加

⑧ 任意積立金の積み立て・取り崩し

⑵ 損益取引に含まれない取引(株主資本以外の損益計算書に計上されない取引)

① その他有価証券評価損益の増減

② 繰延ヘッジ損益の増減

③ 土地再評価差額金の増減

  1. 新株予約権の増減
  2. ⑤ 少数株主持分(連結の場合)