1.概要
消費税の税率が、令和元年10月から標準税率が10%になり、飲食料品は8%のままで軽減税率の適用になる。
預かった消費税から支払った消費税を控除する「仕入税額控除」の適用を受けるためには、現行上、法定事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件とされている。いわゆる「請求書等保存方式」である。
令和元年10月から令和5年9月30日までの間は、この仕入税額控除の要件について、現行の「請求書等保存方式」を基本的に維持しつつ、その仕入れが軽減税率の対象となる資産の譲渡等(以下「軽減対象資産の譲渡等」という)に係るものか、それ以外のものかの区分を明確にするための記載事項が追加された帳簿及び請求書等の保存が要件とされる。つまり、10%の税率と8%の税率が混在する場合は、税込みで区分分けした請求書を使用しないさいということである。合計欄も、全体の合計欄、10%対象欄、8%対象欄を設けることになる。これを「区分記載請求書等保存方式」という。
2.増加した2つの記載事項
現行の記載事項に加え、次の事項記載が増える。
⑴ 課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、その旨
⑵ 軽減税率と標準税率との税率の異なるごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込み)
なお、この2つの記載事項については、請求書等の交付を受けた事業者による、取引事実に基づく追記が認められている。つまり、仕入先等から請求書が届いて、上記2つの記載事項が不明確な場合がある場合は、その請求書に正しく追記できるということである。
3.区分記載請求書等の記載事項
⑴ 区分記載請求書等発行者の氏名又は名称
⑵ 課税資産の譲渡等を行った年月日
⑶ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
(軽減対象資産の譲渡等である旨)8%の表示
⑷ 税率ごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込み)
⑸ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
4.請求書の例
請求書
××商事㈱
㈱〇〇御中 令和元年11月30日
11月分 131,200円(税込み)
日付 | 品 名 | 金 額 |
11/1 | 魚(8%) | 5,400円 |
11/1 | 牛肉(8%) | 10,800円 |
11/1 | キッチンペーパー | 2,200円 |
合計 | 131,200円 | |
10%対象 | 88,000円 | |
8%対象 | 43,200円 |