1.技術者の種類は3つ
専任技術者の意味を説明する前に、技術者の種類には3つあることを知ってください。それぞれに関連していますが、まずは理解を簡単にするために表にまとめてみました。これ以外に「専門技術者」がありますが、これは少し意味合いが違いますので、別のところでお話します。まず、この3つを覚えてください。
1 | 専任技術者 | ① 建設業の許可を取得するために要する技術者です。② 主任技術者と監理技術者は、工事現場での呼名です。どの技術者も建設業の技術者ですが、専任技術者は、原則として営業所(事務所)に常駐勤務です。 |
2 | 主任技術者 | ① 現場で働く技術者が「主任技術者と監理技術者」です。② 建設業者が、請け負った建設工事を施工する場合には、工事現場に主任技術者または監理技術者を置かなければいけません。 |
3 | 監理技術者 |
2.専任技術者の意味
専任技術者は、建設業の許可を取得するために要する技術者です。
主任技術者と監理技術者は、工事現場で働く技術者のことを言いますが、どの技術者も建設業の技術者に変わりありませんが、それぞれの意味が違います。もちろん、専任技術者が例外的に「主任技術者」になって現場で働くこともありますが、原則として営業所(事務所)に常駐勤務です。
そこで、建設業の許可を受けようとする者は、許可を受けようとする営業所ごとに、一定の資格又は経験を有する専任技術者を置かなければなりません。専任とは、その営業所に勤務して、もっぱらその職務に従事することをいいます。
営業所の専任技術者は、請負契約の締結にあたり、技術的なサポートを行うことが職務とされています。例えば、工法の検討、発注者への技術的な説明、見積りを行うなどがあります。
もう少し、法的な根拠を交えながらまとめてみました。これで理解が深まると思います。
3.許可要件の一つ
① 専任技術者は、営業所ごとに一定の資格又は経験を有する技術者で、専任のものを置くことが求められています。(建設業法第7条2号、第15条2号)
② 主任技術者と監理技術者とは工事現場における技術者のことで、専任技術者とは区別して考えてください。
③ 専任技術者は、許可要件の一つとして求められています。
4.専任の意味
① 営業所に置く専任技術者は、建設工事に関する請負契約の適正な締結やその履行を確保するために置かれるもので、常時その営業所に勤務していることが必要であり、それぞれ専任で置くこととされています。
② 原則として、営業所(事務所)に常駐勤務ということです。
③ つまり、現場での主任技術者や監理技術者になりにくいということです。
④ 社会保険の加入や住民税の「特別徴収制度」などの挙証書類が求められます。
5.専任の特例
① 平成15年4月21日に国土交通省総合政策局建設業課長(国総建第18号)から「営業所における専任の技術者の取扱いについて」という文章で、専任技術者の取扱いが明確化されました。
② 工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制にあるもので、所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある場合に限り、当該工事の専任を要しない「主任技術者」や「監理技術者」になることができる。
③ つまり、専任技術者であっても、主任技術者や監理技術者になることができますが、例外的な取り扱いで、原則は事務所に常駐勤務です。
6.専任を要しない工事とは
① 公共性のある工作物に関する重要な工事(個人の住宅以外殆ど)で、2,500万円以上(建築は5,000万円以上)の場合、現場の主任技術者や監理技術者は専任(専従)で置く必要があります。元請、下請にかかわらず適用されます。
② つまり、2,500万円未満の工事(建築は5,000万円未満)には、近場の現場ならば、専任技術者と兼務できます。
③ 専任を要しない工事ならば、専任技術者を主任技術者として、工事経歴書の「配置技術者」に載せることができます。