経営分析状況の8指標を見てきました。一つ一つの指標について、それぞれの理屈対策をまとめてみました。下表のとおりです。すると、理屈対策と8指標の関係が明確になり、対策が立てやすくなりました。具体策は後述します。

 

 

理屈対策

各 指 標

1

金利を減らすこと

(借金を減らすこと)

1位「純支払利息比率(29.9%)」

2位「総資本売上総利益率(21.4%)」

3位「自己資本比率(14.6%)」

4位「負債回転期間(11.4%)」

5位「自己資本対固定資産比率(6.8%)」

6位「売上高経常利益率(5.7%)」

7位「営業キャッシュフロー(5.7%)」

8位「利益剰余金(4.4%)」

2

粗利益を増やし、

確実に経常利益を上げること

2位「総資本売上総利益率(21.4%)」

6位「売上高経常利益率(5.7%)」

3

自己資本を増やすこと

3位「自己資本比率(14.6%)」

5位「自己資本対固定資産比率(6.8%)」

4

総資産のスリム化をすること

2位「総資本売上総利益率(21.4%)」

3位「自己資本比率(14.6%)」

5位「自己資本対固定資産比率(6.8%)」

 

 上記のように理屈対策は、①金利を減らすこと(借金を減らすこと)、②粗利益を増やし、確実に経常利益を上げること、③自己資本を増やすこと、④総資産をスリム化することの4つになりました。

 違う表現をしますと、「金利を減らすこと(借金を減らすこと)」は、1位の「純支払利息比率(29.9%)」から8位の「利益剰余金(4.4%)」まで、すべての指標に影響し、アップ対策の1番手にきます。無借金経営の実践に尽きます。

 2番手の「粗利益を増やし、確実に経常利益を上げること」は、2位の「総資本売上総利益率(21.4%)」と6位の「売上高経常利益率(5.7%)」の2つの指標に影響し、毎期の利益計上と納税意識がキーポイントになります。その重要性を「アップ対策3」で説明します。

 3番手の「自己資本を増やすこと」は、3位の「自己資本比率(14.6%)」と5位の「自己資本対固定資産比率(6.8%)」の2つの指標に影響し、増資対策と、やはり、毎期の利益計上と納税意識がキーポイントになります。その重要性を「アップ対策3」で説明します。

 4番手の「総資産のスリム化をすること」は、2位の「総資本売上総利益率(21.4%)」、3位の「自己資本比率(14.6%)」及び5位の「自己資本対固定資産比率(6.8%)」の3つの指標に影響し、遊休資産の売却が主な対策になります。また、出来る限り機械や車両は、現金で購入するようにします。お金がなければ購入できませんので、やはり、無借金経営やダム経営の重要さが見えてきます。

 このように理屈対策を分析しますと、いかに、無借金経営やダム経営が重要で、本気になって実践し貫き通すことが明確になりました。経営状況分析(Y点)アップ対策は、無借金経営、ダム経営が最も効果を発揮します。ダム経営は、Y点対策だけではなく、会社経営の基本中の基本です。根幹をなす経営方法だと考えます。

 ところで、ダム経営は会社規模に応じて、今すぐ使えるお金が1億円なのか、5億円なのか、10億円なのか、50億円なのか、100億円なのか、分かりませんが、少なくとも借入金がなくて、今すぐ使えるお金が1億円ぐらいからダム経営と言えそうです。なぜならば、第8位の「利益剰余金」の分母が1億円になっているからです。

 創業から現在までの「利益剰余金」が100億円になれば満点です。