経審(けいしん)とは、建設会社が公共工事に参加する時に、行政側が求める資格審査のことです。これらの仕事を進めるには、建設業会計や建設業法等の知識が欠かせません。

建設会社は、公共工事を受注しようと、入札参加申請書を官公署に提出します。その参加資格に経審を義務付けています。経審を受けるには、建設業法で規定している「決算変更届」を報告する義務があり、いわゆる会社の業務報告のことです。工事経歴書、財務諸表等を添付して届出します。また、その一部である建設業会計で作成した財務諸表を経営分析機関に依頼し、「経営状況分析結果通知書」を添付して、経審の申請をします。

この一連の仕事を通して、短期と長期に分けて、戦略的に経審手続を進めることがポイントだと認識しました。つまり、財務内容が経審の点数に影響するからです。もちろん、技術力や工事実績等も重要な加点項目ですが、財務内容によっても経営規模評価が違ってきますので、長期的な対策が必要になってきます。ここに、会計知識と戦略的な経営センスがなければ、この仕事を適格に進めることができません。

その一つに売上高を「工事完成基準」から「工事進行基準」に切替え、消費税の多額な還付を受けた会社がありました。親会社との連結決算でそうなったのですが、一時的にせよ戦略的経営のなせる技です。

他の事例では、会社分割を活用して、「特殊経審」の依頼を受けました。特殊経審とは、事業譲渡、合併、分割等が伴う経審のことです。この事案は、顧問税理士と協力の上で進めた案件でしたが、許認可をはじめ、税金や会計の知識、戦略的経営がなくては進めることができません。やはり、工事契約会計基準や最近の税法知識も必要だと感じ、錆ついていた会計や税法を学び直す機会を得ました。

建設業の許可を取得するには、建設業法で「経営業務の管理責任者」を置くことを規定しています。いわゆるマネジメント能力が問われ、人の問題が重要だと考えるようになりました。この経営管理に応えるべく、自己流ですが、学んだことを顧客にアウトプットし、思考錯誤しながら、走り続けてきました。心を込めた仕事、魂の入った経営アドバイスで、好評を得ています。その間、顧客の繁栄発展に感謝しながら、私自身も多くのことを顧客や社会から教えていただき、喜びでいっぱいです。

人格優れた経営者は、智慧を絞り、利益をあげ、多額の納税をされています。智慧は時間を生かし、人を生かします。経営とは、智慧と汗の結晶です。