例えば、甲会社の経営管理責任者になっているA取締役が、定時総会の10月26日に辞任しました。経営管理責任者(経管)は建設業許可の最大要件です。辞任した時点で許可要件がなくなるので、経管の変更届が必要です。変更日から2週間以内に届出ることになり、もちろん役員の変更届も合わせて提出します。

そこで、A以外に経管予定者がいない場合は、甲会社は「建設業の廃業届」を出すしか方法がありません。経管予定者が見つかるまでは、新規許可の申請ができません。

上記のような状態で、もう一度Aさんにお願いして、常勤の取締役に就任してもらいます。その時の就任日は10月27日以降でないと就任できません。そうしますと、最大一日から何時間の取締役としての空白期間ができます。同じにように「経管」も空白になり、許可要件を欠くことになります。

極端な例をあげましたが、この場合もやはり、行政法規である建設業許可は、一旦「廃業届」になり「新規許可」の申請になります。これは建設業法で云々する問題ではなく、会社法に基づいて役員任期の継続性を判断します。なぜならば、役員の任期は会社法がベイスにあり、特別法である商業登記で辞任・就任・重任が履歴事項証明書に付されることになるからです。

したがって、大阪府と地方整備局の取扱いも、役員の任期については会社法に基づいて処理されます。つまり、同じ取締役が経管になる場合、そこに取締役としての継続性がなければ「廃業届」になります。「経管の変更届」ではありません。