お得意さんの奥さんから「越乃寒梅」を頂戴する。それも2本である。

後生大事に越乃寒梅を何重にも大きな袋で包み込み、割れては困るので宝物を扱うようにして、電車に乗り込んだ。

誰か慌て者が急いで乗り込んできて、大事な越乃寒梅にアタリはしないかと心配で、自分の足で紙袋をガードしていた。

緊張の連続で本も読めない。廻りの人間を敵対しするような目つきになって、ただただ宝物を抱いている。袋の中に1億円が入っているかのように、越乃寒梅だけに集中していた。

頭の中が「越乃寒梅」「越乃寒梅」「越乃寒梅」と巡りめぐり、思わずツバを飲み込む。早く一杯やりたい。またツバが出てくる。熟成されること40分。無事、我家に到着。冷で一杯。たまりませんなぁ!