ある先生が、大阪府行政書士に登録入会された。入会金などで約30万円の大金がいる。親が残してくれた財産が30万円。それを形見のように、それはそれは大切に大切にされてきた。使い道を決めていた。後生大事にして、入会登録の費用に充てた。

そういう先生は、絶対に行政書士を辞めない。石にかじりついても、行政書士で食っていける先生である。

私はこういう方が大好きである。尊敬もする。もっとも、親の遺産がなくて、ご自分で苦労されたお金で、入会金を積んで登録された先生は、もっと偉いと思う。確かに偉い。

しかし、この先生の偉さは、もっと違うところにある。普通は親の遺産をすぐに食いつぶしてしまう。その貴重なお金よりも、その父親の精神を大事にされたところに、私は感動した。

お金ひとつにしても、心意気ひとつにしても、志ひとつにしても、どんな形であれ、こういう精神を大切にされる方は、必ず大成される。

さっきまで、その先生と一緒に飲んでいた。親の形見だけではない。正邪をわかつ心。仕事への情熱。本当に良い仕事をしていこうという心構えと取り組み。行政書士の未来に対する考え方。どれをとっても、立派な心がけである。

頼もしい思いがした。わが行政書士会にも、あとに続く気骨のある先生がいる。いつまでも、いくつになっても、その精神を、その心を忘れてほしくない。将来を期待するとともに、一緒に、すばらしい行政書士会にしていきたいと誓った。