人の幸、不幸は、心の中にどのような想いを描いているかで、幸せを感じたり、不幸せを感じたりするのではないでしょうか。城たいが氏の詩ではありませんが、「幸せだと思った時から、幸せが始まる!」。私も同じように捉えています。

 幸せな人は、その人の心の絵が、自分の望ましいもので埋まっています。望ましい姿で描かれています。一方、不幸せな人は、その心の絵が、自分の望ましくない形に描かれているのではないでしょうか。この部分が、「幸福」と「悩み」というものを考える一つの鍵ではないでしょうか。

 例えば、何かで自分の想いが達成できずに挫折した場合、それをいつまでも引きずっていることがあります。この挫折から導かれるものは失意であり、そうした心の傾向性のまま生きている人がいます。失意が人の心にあれば、幸せを感じることはないでしょう。

 また、挫折と関係がある場合もありますし、関係がない場合もありますが、劣等感というものもあります。学歴コンプレックスも一つの劣等感でしょう。これも、心の絵を暗くしています。劣等感から、自己嫌悪や自信喪失が生じてきます。劣等感、自己嫌悪、自信喪失のような事柄が、自分の心を暗くしていきます。

 ここでは、劣等感をユーモアまでに昇華させられたF社長のお話です。

 F社長と、時々、幸福について語り合います。お世話になって30年にもなりますが、いつも教えられることばかりです。

 F社長は、小学校時代も中学校時代も、まじめに学校に行ったことがないので、勉強らしい勉強はしたことがなかったそうです。中学を卒業してからは、工務店に勤務され、その後22歳の若さで独立されました。数年後に法人化にされ現在に至っています。

 彼の偉いところは、50歳になってから、夜間の工業高校の建築科に進まれて、優秀な成績で卒業されました。「学校時代にまともに勉強したことがないので、高校ぐらいは出ておこうと思い、仕事に関係する建築科に進みました。自分の子供と同じ年頃の人と机を並べて、まじめに勉強しました。毎日が楽しくて、仕事にも役立ちました」と、明るく話されます。

 F社長とお会いするたびに、「数学が難しい」とか「社会はよく分かります」「物理は全く分かりません」「分からい漢字も多くあります」というように、学生のように笑いながら語っておられました。ここがF社長の素晴らしいところです。学歴コンプレックスというか劣等感の微塵も感じられません。ユーモアを交えて話してくださいます。そのユーモアが笑い話までになります。

 やはり、心の中に、どのような想いを描くかで、その人生感が変わります。光輝く人生にするのか、未来を明るくしていくのか、心の中に描く絵によって変わります。いつも、心の中にプラス思考の絵を描きましょう。それもF社長のように、ユーモアでもって語りましょう。

 F社長から、素晴らしい贈り物を頂戴しました。ありがとうございます。