小説家になりたい。ギター奏者になりたい。歌手になりたい。一流企業に入って活躍してみたい。あるいは、高校野球の選手であれば、プロ野球の有名球団に入って活躍してみたいと思うでしょう。あるいは、外交官になって、世界のために貢献してみたいという志を持つ人もいるでしょう。誰でも一度や二度は、大志を抱いて、その夢を実現しようと努力したことでしょう。しかし、その希望がしだいに小さくなっていくことが多いと思います。

 私も例外ではありません。商業高校一年の頃から小説家に憧れて、授業中に小説ばかり読んでいました。高二の時に短編や詩を書いて、校内誌に発表したこともありました。さすが、高三になって大学進学も考えていましたので、多少なり受験勉強に専念し、夜間大学の経営学部に入りました。働きながら大学を卒業しましたが、小説家になりたい夢は持っていました。

 しかし、23歳で小説家になる夢を捨てました。やはり、自分には才能がないと思い、また飯が食えないと考えたからです。それ以後は、あまり小説も読まなくなり、仕事に関係する経営書や偉人伝、実務書が中心になりましたが、元々、本を読むのが好きでしたので、多くの本を読んできました。

 その折に、いつも心の中に去来するのは、小説家というより作家になりたいという想いでした。今から考えると、小説家になりたい、作家になりたいと想うだけで、それに見合う大した努力もしていませんでした。また、何らの文章も書いていません。このように努力もせずに作家になれるわけがありません。

 32歳で行政書士を開業し、仕事も忙しくなり、仕事に追われて、気が付けば40年が経っていました。それでも、いつも去来するのは、本を出版することでした。本を読んだり、文章を書くことは好きでしたので、何の苦痛もなく出来ます。もっとも、難しい法律書や哲学書などを書く才能はありませんが、「きまぐれエッセイ」や「応援歌シリース」なら書けると思い、十数年からHPに拙い文章を書いてきました。

 十数年も書き続けていれば、相当な数になりました。これは、自分の好きなことだから、続けて来られたのだと思います。やはり、興味や関心があることは続けられるという事です。そして、初めての本の出版が可能になりました。

 ここで何が言いたいのか。それは、大志を抱いても、たいていの人の大志は、一カ月二カ月、長くても半年で崩れる程度のものであることが多いと思います。失礼な言い方かも知れませんが、その大志が三年も五年も十年も続かないでしょう。

 しかし、私がお勧めしたいのは、「少なくとも三年間は持ち続けられる志を立てる」ということです。三年間、一つの志を持ち続けることができたならば、それだけでも非凡だと思います。それをステップとして、次なる夢をまた持つようにしていけばよいと考えます。

 大きな夢を最初から持っていても、すぐには実現できません。また、自分がそれなりの立場に立たなければ実現できない夢もたくさんあります。また、私のように諦めが悪いというか、「日本一、世界一、諦めが悪い男」だと、息子に言われました。小説家になりたいから始まって、作家になりたい、今度は自分の本を出版したい。いずれにせよ。志というか夢だけは、六十年近く、諦めたことがありません。いつも心の中に去来していました。そのお陰で夢が実現したわけです。

 ここで、もう一つお勧めしたいことがあります。先ほど、最低三年間は、志を持ちづける話をしましたが、それに加えて、「興味や関心のある分野」を掘り下げていくことが大事だと思います。スポーツでも、語学でも、その他の勉強でも、あるいは趣味の領域でもかまいませんが、自分が関心を持っている領域をとりあえず三年間掘り下げて、その道で一流か、一流に近いセミプロの段階までいくことです。自分の興味ある事や好きな事は続けられます。

 このようにして、三年間、努力を積み重ねて、ある程度の自信がついたならば、次は、その領域を広げていくことです。これが夢を実現できる方法だと思います。私の場合は、趣味の領域ですが、夢が叶いました。

 最低三年間、想い続けること。興味や関心のある分野をやること。好きな事ですね。あとは、それに見合う努力をすることです。「努力をしていない者には決して道は開けない」と思ってください。努力していることが前提条件になります。しかし、好きな事なら、努力も苦にならないと思います。私のような「世界一、諦めの悪い男」の話は、参考にならないと思います。 

 皆様なら、もっと素晴らしい大志を持たれて、立派な道を歩まれると思います。心より期待しております。