「お父さん、カッコイイネ。男前のお父さん」

 毎朝、顔を合わせると必ず言ってくれます。娘の名前は「佳世子」です。

 仕事を終え帰宅すると、

「お父さん、お帰り。難しい?」

「難しいよぉ。難しいよぉ・・・。かんたん、かんたん!」

 難しいとは、仕事が難しいという意味で、佳世ちゃんの労いの言葉です。

 私の長女として、昭和55年4月16日に生まれました。もうすぐ44歳の誕生日を迎えます。いつでも、どこでも、みんなから「佳世ちゃん」と呼ばれ、人気ものです。

 身長143㎝、体重48㎏。かっちりとやや太った体で、かわいいしぐさが何とも言えません。色は白い。ダウン症候群という知的障害をもって生まれてきた「光の天使」です。

 辛抱強く、根気がすこぶる良い。チャレンジ精神は、わが家で一番です。水泳もできるし、自転車にも乗れます。うまく話すことができないが、コミュニケーションは充分とれます。

 歌と踊りのリズム感は最高です。いつも自分なりの創作ダンスを楽しんいます。夢がいっぱいある絵も上手に描きます。好きな本の書き写しは、ノート100冊を超えました。一冊まるごと書き写します。いったい、誰に似たのだろう。ぬり絵も上手です。

 好き嫌いがなく何でも食べます。「ごはん」をしっかり食べ、お菓子類の間食はしない。その代わり、パンやお餅類のボリュームある物が好きです。伊勢名物の「お多福餅」は彼女の大好物です。

 今は地元の「夢工房くるみ」に、元気よく通っています。毎月の給料が5,000円前後ですが、無駄遣いをしません。いつも、新聞のチラシにある「おもちゃ」の広告を見て、自分の欲しい物に狙いを定め、しばらく持っています。折を見て、家中のみんなに見せ、自分の誕生日にプレゼントをせがむ計画をしています。なかなか賢いやり方です。

 佳世子が1歳の時に行政書士の試験を受けました。作文の課題が「国際障害者年について述べよ」でした。行政書士は、佳世子がくれたライセンスだと、今でも思っています。翌年の昭和57年10月に開業しました。兄の広樹が小学校に通い始めた年でした。

 兄が小学校5年生の時に、妹の作文を書きました。「ぼくが変わってあげて、佳世子の病気を治したい」と、涙が止まりませんでした。優しい兄を持った佳世子も幸せです。妻は、今もその作文を大事に持っています。

 佳世ちゃんが、こんなにも元気で、落ち着いた子に育ててくれた、妻に感謝しています。心からお礼を言いたい。本当にありがとう。つらい日もあったろう。苦しい時も多くあったでしょう。愚痴一つこぼさず、歯をくいしばって、がんばってくれた妻に、頭が下がる思いです。佳世ちゃんを育ててくれた妻も、「光の天使」です。