よく「お金は後からついてくる」と言われます。名経営者の書籍を読みますと、よく出てくる言葉です。お金にしても、地位や名誉にしても考え方は同じだと思っています。後からついてくるのではないでしょうか。
例えば、「出世したい」などと思わなくても、きちんとした仕事をしていれば、周りが認めてくれて、自然に地位が上がっていきます。また、「お金は欲しい」と思わなくても、よい仕事、すなわち高い付加価値を生む仕事をしていれば、会社の収入が増え、給料も自然に上がっていきます。そのように、自分を取り巻く環境が変わっていきます。
不思議なことですが、本当に、そのとおりの結果になります。自分から求める必要はなく、結果として与えられます。
いずれにせよ、その人にふさわしいものが引き寄せられてきます。「何がふさわしいか」ということは、自分ではなかなか分からないものですが、周りの人や世間の人には分かります。
会社で言えば、「会社の規模がどこまで大きくなるか」ということは、世間の評価によって決まります。その会社の仕事を世間が総合的に評価し、「この会社は、この程度まで発展しても構わない」という結論が出てきます。世間が「もっと発展してほしい」と思う会社には、数多くの顧客が付いてきて、その会社は、さらに大きくなっていきます。そういうものです。世間というものは、短期的に間違うことはあっても、大きな目で見て、長期的に間違うことは、ほとんどありません。
したがって、求めなくても、ふさわしい立場が与えられます。
もし、分不相応に、収入が多すぎたり、地位が高すぎたり、名誉がありすぎた場合には、やはり、どこかで「調整の原理」が働き、その人に反省を求めるような結果が現れてきます。
例えば、一時的にお金持ちになったとしても、そのお金を何かですってしまうようなことが起きます。投資に失敗したり、何らかの環境変動によって、今まで儲かっていたものが駄目になったりして、淘汰されてしまいます。
たまたま追い風が吹き、何をやっても成功するようなときには、うまくいったとしても、そうでないときには駄目になるわけです。
しかし、本当に社会から認められ、必要とされるものであれば、景気の変動を乗り越え、生き延びていけます。常に、「世の中に必要なものは何か」を考え、お客様を大事に考えているところは、どんなときにも伸び続けます。
会社のなかで出世する方法も同じであり、基本的に、自分の出世のことを考える必要はありません。常に、「会社の発展」と、「会社を通じて仕事をした結果、お客様や、その会社と接する人たちに、どれだけ喜んでもらい、幸福になってもらえるか」ということを念頭に置いて仕事をしていれば、自然に地位も収入も与えられるようになります。
人間は、どうしても自己中心的になりやすいので、気をつけなければいけません。自己中心的になると、盲目になってしまい、物事が分からなくなります。
やはり、日々、誠実に努力していれば、その方に相応しい形で、お金は後からついてきます。