依頼者の意向に沿う形で、信託契約書の内容を精査することは言うまでもありませんが、ここではその内容の話ではありません。
依頼者に合った形で信託契約書を作成しましたら、まず、信託専用口座を作成する銀行で、事前チェックを受けることが優先します。信託口座を開設してくれる銀行がOKを出さない限り、先に信託契約書を公正証書しても意味がありません。順番を間違えないようになさってください。
まず、信託口座を開設する銀行で事前チェックを受けることです。大半の銀行は、その信託契約書を本店にあげ、本店の法規部等でチェックを受けた後、依頼者に連絡をくださり、OKの返事をいただいた後に、公正証書にします。民事(家族)信託の場合、この順序が大事です。もちろん、信託専用口座を開設する時は、公正証書にした信託契約書が求められます。
公証人にも、民事信託に詳しい先生もいらっしゃいますが、大阪の場合は比較的少ないようです。私が手掛けた連続型信託契約書に関しては、その公証人は初めてのケースでした。私が作成したものをそのまま公正証書にされただけでした。もっとも、大阪にも民事信託に詳しい公証人もいらっしゃると思いますが。
おそらく、民事信託については、公証人によりも、信託専用口座を開設してくれる銀行の方が、現在のところ(令和3年4月)詳しいのではないでしょう。
いずれにせよ、一番大事なことは、依頼者の意向に沿った形で、何度も検討し、依頼者が納得されるまで、信託契約書を練ることが大切です。これが難しい仕事です。